1)観察法の開発:先端レンズ無しの硬性ファイバーをマルチピンホール式共焦点スキャナユニットとカップルさせた「共焦点ファイバー顕微鏡」により、ラット脳深部の蛍光観察を行った。虚血再灌流モデル(4血管閉塞による一過性前脳虚血)において、ヒドロキシラジカル消去剤(エダラボン)は容量依存的に海馬CA1領域の遅発性神経細胞死を抑制したので、そのメカニズムをさらに検証するためにイメージングを行った。ラット海馬CA1領域で、ヒドロキシラジカル蛍光指示薬のHPF(ヒドロキシフェニルフルオレセイン)とスーパーオキシド蛍光指示薬のMitoSoxを、それぞれ窒素ガスで加圧して脳内にインジェクションすること(Pressurized bolus injection法)により投与(染色)し、ヒドロキシラジカル消去剤(エダラボン)投与時の海馬CA1領域のラジカルの産生の評価を行った。その結果、ヒドロキシラジカル消去剤(エダラボン)は容量依存的に海馬CA1領域のヒドロキシラジカルの産生を抑制し、遅発性神経細胞死とパラレルであった。一方、最も遅発性神経細胞死を抑制する濃度のエダラボン投与でもスーパーオキシド産生は抑制されておらず、細胞死を引き起こす重要なメディエータはヒドロキシラジカルであることを実証した。 2)蛍光ラベル法の開発:プラスミドの脳室内投与によるin situ lipofection法による脳内蛍光蛋白発現法に関して改良を加え導入効率を高めた。ラット(BW 300g)に脳室カニュラを設置し1週間後に、脳室内にDNA量16.7μg/kg (BW) 、DNA 2.5 μgあたりLipofectamine3000 reagent 5μLを混ぜ、室温で5分インキュベート後に1 μL/minで脳室内投与を行うことにより効率良く蛍光蛋白が発現することが分かった。
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