研究概要 |
平成24年度は脳梗塞(脳虚血状態)におけるMMPの活性を画像化することを目指し、MMPSense680と呼ばれるMMPで分解されると蛍光を発生する特殊な色素を中大脳動脈脳梗塞マウスモデルに投与し、マウス個体の外表面から蛍光を検出できる実体蛍光顕微鏡を用いて脳梗塞発生後の状態を経時的に観察した。 マウス大脳動脈60分間閉塞モデルを用い, 偽手術群, Vehicle群, 再灌流直後に血栓溶解薬であるtPA 10mg/kgを経静脈投与したtPA群, フリーラジカルスカベンジャーであるエダラボン3mg/kgを経静脈投与したEDA群, tPAとエダラボンを投与したtPA/EDA群, tPAと骨髄間質細胞(BMSC)を投与したtPA/BMSC群の計6群で検討を行った。 評価項目として 再灌流48時間後にMMPSense680投与によるin vivoイメージング, TTC染色による梗塞巣体積評価,ゼラチンザイモグラフィーによるMMP活性測定を行った。 実験の結果、梗塞巣体積はVehicle群が最大で, tPA, tPA/BMSC, tPA/EDA, EDA群の順で縮小した。MMPSense680 in vivo イメージングでは, tPA群で最も強いシグナルを認め, PA/BMSC, tPA/EDA群で減弱した。ゼラチンザイモグラフィーでは, tPA群でMMP-9活性を最も強く認め, tPA/BMSC, tPA/EDA群で減弱した。 この研究により、脳梗塞後のtPAによる脳へのダメージが, BMSCやEDA投与により改善することをMMP活性のin vivo イメージングを用いて評価することができた。このMMP in vivo イメージングは, 脳梗塞による障害を評価する新しいイメージング方法として大変有用であることが明らかになった。
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