研究課題/領域番号 |
24659659
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
井澤 一郎 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 室長 (20311441)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | CD133 / 癌幹細胞 / 脳腫瘍 |
研究概要 |
これまで明らかとなっていない脳腫瘍幹細胞マーカーCD133の機能を解明するために、CD133と結合する蛋白質の同定をいくつかの方法を用いて試みた。アフィニティー精製法を用いた同定では、コムギ無細胞蛋白質翻訳反応を行い、GSTタグをつけたCD133のリコンビナント蛋白質を試験管内で作製し、精製したGST-CD133とヒト胎児性がん由来細胞(NTERA-2細胞)より作製した細胞抽出液を反応させた後に、CD133結合蛋白質をアフィニティー精製し、質量分析装置で解析した。この結果、poly ADP-ribose polymerase 1 (PARP1)、Nucleolin、Ras GTPase-activating protein-binding protein 1 (G3BP1)、Insulin-like growth factor 2 mRNA-binding protein 1 (IGF2BP1)などをCD133結合候補蛋白質として同定した。免疫沈降法を用いた同定では、ヒト網膜芽細胞種由来細胞(WERI-Rb-1細胞)、ヒト大腸がん由来細胞(Caco-2細胞)およびヒト胎児性がん由来細胞(NTERA-2細胞)の細胞抽出液から内在性のCD133を抗CD133抗体で免疫沈降し、結合蛋白質を質量分析装置で同定した。この結果、GRP78、Fascin、ActinなどをCD133結合候補蛋白質として同定した。また、酵母two-hybrid法を用いた同定では、まず全長をbaitとして酵母two-hybrid screeningを行い、CD133結合候補蛋白質として、SRSF3、TPP1を同定した。現在、これらの候補蛋白質が、実際に細胞内で内在性のCD133と結合しているかを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳腫瘍幹細胞マーカーCD133の機能を解明するために、CD133と結合する蛋白質の同定を行い、CD133と結合しうる候補蛋白質をいくつか同定することができ、ほぼ順調に経過していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに同定したCD133と結合しうる候補蛋白質について、細胞内で内在性のCD133と実際に結合しているのかを検討し、結合が確認されたものについて、その生理学的機能を解明していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
来年度に行う予定であるCD133結合候補蛋白質の機能解析では、抗体をいくつか購入する必要があるので、本年度未使用分を抗体購入にあてる。また、生理学的機能を詳細に観察するためには、細胞培養用の物品が必要であり、また、候補蛋白質のノックダウンを行うためにsiRNAを購入する予定である。
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