研究課題/領域番号 |
24659661
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩崎 倫政 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30322803)
|
研究分担者 |
高畑 雅彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (40374368)
小野寺 智洋 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70547174)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 骨・軟骨代謝 / 糖脂質 / ガングリオシド / 遺伝子改変マウス |
研究概要 |
スフィンゴ糖脂質合成酵素遺伝子欠損マウスのうち,GM3合成酵素、GD3合成酵素、GalNAc-T遺伝子欠損マウスでは,骨格成長,発育は正常で,組織学的にも骨・軟骨組織に明らかな異常は認めなかった.さらに全身性骨代謝への影響を調査するために骨量,骨微細構造を定量的に評価したが,野生型マウスとの間に有意な変化はなかった.軟骨特異的にすべてのスフィンゴ糖脂質を欠損するUgcg-Col2a1Creマウス(上記ガングリオシド合成酵素の上流の酵素)では加齢に伴う軟骨変性が助長することから,GM3合成酵素、GD3合成酵素、GalNAc-T遺伝子欠損マウスについても最大52週まで観察する予定である. 軟骨細胞についてスフィンゴ糖脂質の発現プロファイルを合成酵素遺伝子の発現と質量分析(MALDITOF/MASS)により測定した.ガングリオ系列,グロボ系列,ラクト系列,ネオラクト系列,イソグロボ系列の中では,ガングリオ系列の発現が多かったことから,軟骨細胞においてはガングリオシドが重要な役割を担っていることが示唆された. 長管骨骨折モデルを作製し,その治癒過程を調査したところ,軟骨特異的Ugcg遺伝子欠損マウスでは修復過程のうち内軟骨性骨化機序が遅延,減弱することがわかった.この結果は,軟骨細胞の分化や基質産生においてガングリオシドが重要な役割を果たしていることを示唆示唆しており,現在,そのメカニズムを調査中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨特異的Ugcg遺伝子欠損マウスの作製が遅延しているほかは,GM3合成酵素、GD3合成酵素、GalNAc-T遺伝子欠損マウスの表現型解析は順調に進んでいる.成長,発育に関する調査はほぼ結論がでたため,現在は加齢に伴う変化を明らかにする目的で1年齢まで長期の観察実験を行っている.関節軟骨の組織学的観察,長管骨および脊椎骨の骨形態計測(組織学的検討,マイクロCTによるX線学的検討)も終了した. 軟骨細胞におけるガングリオシドの発現プロファイルの解析も終了しており,次年度は計画に基づきサイトカイン/ホルモンに対する細胞応答性とガングリオシドの関連を調査する予定である. 長管骨骨折モデルや変形性関節症モデルによる検討を開始しており,次年度には結果が得られる予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
加齢に伴う変化を明らかにする目的で,GM3合成酵素、GD3合成酵素、GalNAc-T遺伝子欠損マウスを1年齢まで観察し,骨,軟骨の形態的,機能的異常の有無を調査する. 長管骨骨折モデルおよび変形性関節症モデルを作製し、その治癒過程や変性の進行や程度について各遺伝子改変マウスと野生型マウスを比較検討する. ガングリオシド合成酵素遺伝子欠損によるガングリオシド発現プロファイルの変化によってサイトカイン/ホルモンに対する細胞応答性がどのように変化するかを明らかにする.これまでの知見をもとに炎症性サイトカインに対する反応性を中心に評価する予定である. 骨芽細胞に特異的に発現するI型コラーゲンα1鎖(Col1a1)遺伝子のプロモーターを用いた骨特異的Ugcg遺伝子欠損マウスを作製する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
|