研究課題
挑戦的萌芽研究
(1)大規模低分子化合物のスクリーニング大量スクリーニングをより簡便にするべく新規軟骨分化モニタリングシステムであるCol2-GFPシステム(軟骨細胞特異的に発現する2型コラーゲンプロモーター断片(Col2)の下流にクラゲの発光蛋白(GFP)遺伝子を組み込んだ合成遺伝子で、この遺伝子が導入された細胞は軟骨細胞に分化するとGFPの蛍光を発する。本遺伝子が組み込まれた細胞(前軟骨細胞株ATDC5)をセンサーとして、軟骨細胞分化をGFP蛍光を指標にリアルタイムで簡便かつ非侵襲的にモニタリングすることができる。)を用いて、低分子化合物ライブラリーのスクリーニング(約5000種類)を行い、GFPの蛍光を指標に軟骨分化を強力に誘導する低分子化合物を数種類同定した。(2)同定した化合物の軟骨分化作用機序をin vitroで解析同定した数種類の軟骨分化誘導候補低分子化合物の最適濃度の検討のため、マウス、イヌ、ヒト関節軟骨細胞を用いて、in vitro解析を行った。具体的にはこれらの細胞に1)でヒットした化合物を種々の濃度で曝露し、培養1週間でmRNAを回収し、リアルタイムPCR法で軟骨分化マーカーである2型コラーゲンやアグリカン、肥大分化マーカーである10型コラーゲンを解析し、基質合成能をトルイジンブルー・アルシアンブルー染色で評価した。肥大化をおこさず(10型コラーゲンの発現を上昇させない)、2型コラーゲンの発現を上昇させ、基質合成を促進し、軟骨組織を再生誘導する機能を持った化合物に絞りこみ、関節軟骨再生誘導化合物とする。現在、そのための詳細な解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
大量スクリーニングのためのツールを確立していたために、低分子化合物ライブラリーのスクリーニングを迅速に進められ、数種類の化合物を候補薬として、同定することができた。イヌ、ヒトの関節軟骨細胞株も連携研究先の協力のもと、入手できたため、in vitroの解析をすぐに開始することができた。
臨床応用を目指した治療薬の開発のため、関節軟骨再生誘導候補化合物が、特に変性したヒト関節軟骨細胞を再分化させ、2型コラーゲンmRNA発現を上げ、軟骨基質合成を積極的に行うことができるか、正常軟骨細胞との比較検討を行う。その結果、より軟骨再分化誘導能が高い化合物の分子メカニズム解析を行う。メカニズムがある程度明らかになった段階で、確立したマウス膝OA モデルを用い、OA手術後8週より、野生型マウスの膝関節腔内に最適化した濃度の化合物を局所投与し、膝OAに対する治療効果、発症の進展の影響を組織学的解析で検討する。
H25年度はヒト軟骨細胞に関節軟骨再生誘導候補化合物を曝露し、Total RNAを回収後、cDNAマイクロアレイを行い、遺伝子発現プロファイルを取得する。同様に、化合物を曝露した細胞からタンパク質を抽出し、プロテインアレイ、二次元電気泳動および液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)を用いて、タンパク質発現プロファイルを取得する。得られたプロファイルを検証、統合することで、化合物ターゲット分子群を同定する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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