研究課題
立体構築が可能なナノカーボンファイバーシート(NCF)を作製し、NCFによるin vivoおよびin vitroでの骨再生のscaffoldとしての能力を評価した。マウス頭蓋骨を用いた骨再生実験において、立体構築したNCFをscaffold に用いることにより、高い細胞接着性と多孔性を示す比表面積の大きなNCFによる構造体が、細胞の侵入、保持、血管の侵入、基質形成などに与える影響を検討した。マウス頭蓋骨に径5mmのcritical sizeの孔を作成し、そこにNCFで作成したscaffoldを挿入し、12週後と24週後にマイクロCT、組織学的評価で骨形成を確認した。コントロールにはコラーゲンのscaffoldを用いた。NCFを用いた群は、コントロール群と比較して、良好な骨形成を認めた。また、NCFを細胞療法に用いるため、骨再生用scaffoldとしての有用性を評価した。NCFに培養細胞を接着させ、細胞接着能、分化誘導を行った際の骨芽細胞の分化能を評価した。細胞接着・増殖能評価では、コントロールである培養皿と比較して遜色のない細胞接着性・増殖性を認めた。分化能評価として行ったALPアッセイでも、コントロールと比較して遜色ない細胞分化マーカーの上昇を認めた。骨芽細胞を接着、増殖させたNCFをマウス背筋内に移植したところ、骨基質の新生を認めた。本研究により、NCFは細胞親和性が良好で、網状構造とすることにより細胞維持能力に優れ、細胞の足場としての能力が高いこと、生体内で骨基質との親和性が良好で、新規骨形成を促進することを明らかにした。以上より、NCFは骨再生のscaffoldとして適した素材として、高い能力を有していると結論した。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Chem Rev
巻: 114 ページ: 6040-6079
10.1021/cr400341h