研究課題
前年度までの研究として、Oct3/4のプロモーターにより薬剤耐性遺伝子が発現し、同時にGFP遺伝子も発現するように構築されたEOSベクターを、イヌの4因子(Oct3/4、Sox2、Klf4及びcMyc)を発現するレトロウィルスと同時に、イヌの線維芽細胞に導入し、薬剤耐性及びGFP蛍光を指標としてイヌiPS細胞の候補クローンを樹立した。平成25年度は、そのiPS細胞の安定した培養維持方法の開発に取り組んだ。血清を用いた数種類の培養条件を検討したが、いずれも未分化状態を維持することが困難であったため、血清を含まず、含有物の組成が判明している培地(Chemically defined medium、CDM)を用いる方法に変更したところ、比較的安定して未分化状態が維持できるクローンの樹立に成功した。このクローンは内因性のOct3/4及びNanog等の幹細胞マーカー遺伝子を発現しており、胚様体を形成する能力を有し、遺伝子発現解析でも三胚葉の代表的遺伝子の発現が確認された。しかしながら免疫不全マウスへの移植による奇形腫形成能は確認できなかった。更にその後の解析で、CDMを用いた培養系であっても長期に培養を継続すると、徐々に内因性幹細胞マーカー遺伝子の発現が減弱し、未分化状態を失い、自発的に分化する傾向があることが判明し、最終的に長期にわたって未分化状態を維持できるクローンは樹立できなかった。なぜ内因性の幹細胞遺伝子がサイレンシングを受けてしまうのかについて、いくつかの検討を行ったがその原因は解明できなかった。
すべて 2013 その他
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Orphanet J Rare Dis.
巻: 8 ページ: -
10.1186/1750-1172-8-190