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2013 年度 実施状況報告書

小胞体ストレスセンサータンパク質による骨格系細胞分化制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24659678
研究機関広島大学

研究代表者

齋藤 敦  広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (30580394)

キーワードBBF2H7 / Sox9 / 軟骨細胞 / 小胞体ストレストランスデューサー
研究概要

我々が同定に成功している小胞体ストレストランスデューサーBBF2H7の骨格系組織における機能解明を目指した。BBF2H7は小胞体ストレスに応答して膜内切断を受け、そのN末端断片が核内に移行し、転写因子として活性化する。これまでにBBF2H7が分泌経路を活性化することで軟骨基質タンパク質の分泌を促進することで軟骨組織の形成に寄与することを明らかにしていた。しかしBBF2H7自身の転写誘導メカニズムは不明であったため、その解明を試みた。その結果、BBF2H7のプロモーター領域内には、軟骨細胞の分化を制御するマスターレギュレーターであるSox9が結合し得るSox結合配列が存在することを見出した。ルシフェラーゼアッセイ、Chromatin immunoprecipitationアッセイなど、一連のプロモーターアッセイによって、Sox9はBBF2H7プロモーター領域内に存在するSox結合配列に結合し、BBF2H7の転写誘導を促進することがわかった。さらに初代培養軟骨細胞にSox9を発現させると、BBF2H7の発現レベルが上昇するとともにその切断が促進され、転写因子として活性化することを明らかにした。Sox9は代表的な軟骨基質タンパク質である2型コラーゲンの転写誘導を促進することも明らかになっている。Sox9の発現によってBBF2H7の転写誘導が促進されると同時に、2型コラーゲンの合成量が増加することで小胞体に負荷がかかり、緩やかな小胞体ストレスが発生することがわかった。BBF2H7はSox9によって転写誘導が促進された後、この緩やかな小胞体ストレスに応答して転写因子として活性化することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

BBF2H7の転写制御機構を明らかにし、転写因子としての活性化メカニズムの一端も解明することができたことで、当初の計画であった小胞体ストレストランスデューサーの活性化機構の一端を解明し、小胞体から発信されるシグナルによる骨軟骨制御機構の理解につなげることができたため、計画はおおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

BBF2H7だけに留まらず、骨芽細胞で強く発現するOASISや、破骨細胞で発現するLumanなど、一連の小胞体ストレストランスデューサータンパク質の転写制御機構および活性化メカニズムを明らかにすることで、骨・軟骨代謝を制御する小胞体ストレス応答系のシグナル系統図を完成させる。この成果をもとに各小胞体ストレストランスデューサーおよびその下流のシグナル伝達経路の活性化を人為的に操作できる化合物を選定する。また、各小胞体ストレストランスデューサー遺伝子欠損マウスの大部分を作製または入手することができている。これらマウスの解析を通じて、小胞体機能とヒト疾患との関わりを追究する。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Chondrocyte proliferation regulated by secreted luminal domain of ER stress transducer BBF2H7/CREB3L2.2014

    • 著者名/発表者名
      Saito, A., Kanemoto, S., Zhang, Y., Asada, R., Hino, K. and Imaizumi, K.
    • 雑誌名

      Molecular Cell

      巻: 53 ページ: 127-139

    • DOI

      10.1016/j.molcel.2013.11.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Physiological functions of endoplasmic reticulum stress transducer OASIS in central nervous system.2014

    • 著者名/発表者名
      Saito, A.
    • 雑誌名

      Anatomical Science International

      巻: 89 ページ: 11-20

    • DOI

      10.1007/s12565-013-0214-x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increased Susceptibility to Dextran Sulfate Sodium-Induced Colitis in the Endoplasmic Reticulum Stress Transducer OASIS Deficient Mice.2014

    • 著者名/発表者名
      Hino, K., Saito, A., Asada, R., Kanemoto, S. and Imaizumi, K.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 9 ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0088048

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transcriptional Regulation of VEGFA by the Endoplasmic Reticulum Stress Transducer OASIS in ARPE-19 Cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Miyagi, H., Kanemoto, S., Saito, A., Asada, R., Iwamoto, H., Izumi, S., Kido, M., Gomi, F., Nishida, K., Kiuchi, Y. and Imaizumi, K.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0055155

    • 査読あり
  • [学会発表] Chondrocyte proliferation regulated by luminal domain of ER stress transducer BBF2H72014

    • 著者名/発表者名
      齋藤敦, 今泉和則
    • 学会等名
      第8回Bone Research Seminar
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140214-20140215
    • 招待講演
  • [学会発表] Sox9による小胞体ストレストランスデューサーBBF2H7の発現制御2013

    • 著者名/発表者名
      立本淑子、齋藤敦、木戸美織、日野健太、今泉和則
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] 小胞体から発信される細胞間コミュニケーションシグナル2013

    • 著者名/発表者名
      齋藤敦、今泉和則
    • 学会等名
      第8回小胞体ストレス研究会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      20131025-20131026
  • [学会発表] 小胞体ストレス応答と骨軟骨形成2013

    • 著者名/発表者名
      齋藤敦、今泉和則
    • 学会等名
      第14回運動器科学研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130913-20130914
  • [学会発表] 小胞体ストレスセンサーOASISファミリーを介した細胞分化制御機構2013

    • 著者名/発表者名
      齋藤敦、今泉和則
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] 小胞体ストレスセンサーBBF2H7の分泌切片による癌細胞増殖促進作用小胞体ストレスセンサーBBF2H7の分泌切片による癌細胞増殖促進作用2013

    • 著者名/発表者名
      岩本秀雄、齋藤敦、今泉和則
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] Luman, an ER stress transducer, is involved in osteoclastogenesis through the regulation of DC-STAMP expression2013

    • 著者名/発表者名
      Kanemoto S, Saito A, Kobayashi Y, Yamashita T, Miyamoto T, Takahashi N, Imaizumi K
    • 学会等名
      ANZBMS 23rd Annual Scientific Meeting
    • 発表場所
      メルボルン、オーストラリア
    • 年月日
      20130908-20130911
  • [学会発表] 小胞体ストレストランスデューサーBBF2H7の小胞体内腔ドメインの新機能2013

    • 著者名/発表者名
      齋藤敦
    • 学会等名
      第14回ORIGIN神経科学研究会夏のワークショップ2013
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      20130831-20130901
  • [学会発表] 小胞体ストレスセンサーBBF2H7の小胞体内腔ドメインによる癌細胞の増殖促進2013

    • 著者名/発表者名
      岩本秀雄、齋藤敦、今泉和則
    • 学会等名
      第54回日本生化学会 中国・四国支部例会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      20130531-20130601
  • [学会発表] Chondrocyte proliferation controlled by secreted partial fragments of endoplasmic reticulum stress transducer BBF2H72013

    • 著者名/発表者名
      Saito A, Asada R, Iwamoto H, Izumi S, Kanemoto S, Imaizumi K
    • 学会等名
      IBMS-JSBMR 2013
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20130528-20130601
  • [学会発表] The endoplasmic reticulum stress sensor BBF2H7 suppresses apoptosis by activating the ATF-5-MCL1 pathway in chondrocytes2013

    • 著者名/発表者名
      Izumi S, Saito A, Ochi M, Imaizumi K
    • 学会等名
      IBMS-JSBMR 2013
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20130528-20130601
  • [学会発表] Secreted Partial Fragments of ER Stress Transducer BBF2H7 Promote Proliferation of Neighboring Cells via Activation of Hedgehog Signaling2013

    • 著者名/発表者名
      Saito A, Asada R, Iwamoto H, Izumi S, Kanemoto S, Zhang Y, Kamon M, Imaizumi K
    • 学会等名
      ASBMB Special Symposia Series 2013, The malutitasking endoplasmic reticulum in health and disease
    • 発表場所
      バージニア、アメリカ合衆国
    • 年月日
      20130501-20130504
  • [図書] CLINICAL CALCIUM, Vol.23 (11)2013

    • 著者名/発表者名
      齋藤敦、今泉和則
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      株式会社 医薬ジャーナル社
  • [備考] 広島大学大学院医歯薬保健学研究科分子細胞情報学

    • URL

      http://home.hiroshima-u.ac.jp/imaizumi/index.html

  • [産業財産権] BBF2H7(BBF2 human homologue on chromosome7)部分アミノ酸配列を有するペプチドまたはそれに結合する抗体を含む細胞増殖調節用組成物2013

    • 発明者名
      今泉和則、齋藤敦
    • 権利者名
      今泉和則、齋藤敦
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2013/072964
    • 出願年月日
      2013-08-28
    • 外国

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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