研究概要 |
この研究の目的は急性脊髄損傷に対する初期段階での脊髄再生治療に、下垂体前葉内において体性幹細胞の一種と考えられている下垂体濾胞星細胞と呼ばれている細胞種を応用し、さらに非開頭法(transsphenoidal approach)を用いて採取した下垂体組織を腎被膜下移植しこれに毛様体神経栄養因子(CNTF)を皮下に挿入したリザーバーから持続投与して細胞移植に適切な状態を得るという、簡便かつ緊急手術に応用可能な方法を開発する基礎研究を行う事である。ギャップジャンクションの成熟遅延を生じた際に濾胞星細胞が線毛の増殖という形で機能的合胞体としての細胞間の内部環境の均一性保持の障害を引き起こす事を発見して文献発表した(Wada, Sakuma, Wakabayasi et al., Microsc Res Tech: 2012; 75(12):1632-8, Wada et al., Endocrinology: 2013; 154(1): 400-9)。ギャップジャンクションで機能的合胞体を形成した濾胞星細胞は結合していない場合よりも周辺細胞の支持・栄養、清掃細胞機能、細胞更新系としての幹細胞機能が高い事を発見して文献発表した(Wada, Sakuma, Wakabayasi et al., Tissue Cell: 2014 46(1):33-9) また、飽食因子として発見されたレプチンが濾胞星細胞間のギャップジャンクションの成熟と維持にはプラスの作用を持っていることを、レプチンの機能的受容体であるOb-Rbがミスセンスミューテェーションによる機能不全を生じているZucker fatty (fa/fa)ラットを用いてを発見して文献発表した (Wada, Sakuma, Wakabayasi et al., Microsc Res Tech: 2014 in press)。
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