研究課題/領域番号 |
24659682
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
福田 裕康 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90444984)
|
キーワード | 微小血管 / 骨粗鬆症 / 骨膜 / 微小循環 / 老化 |
研究概要 |
骨粗鬆症に関わる骨代謝異常の背景には、骨組織における代謝と血流の不均衡が存在することが推測される。骨組織の循環障害は血管機能異常に起因すると考えられるが、骨組織の血流を担う微小血管の収縮制御機構は未だ明らかではない。本研究課題に対して今年度はモルモット骨膜に存在する微小血管を標本として、血管壁追跡システムを用いて血管径の変化を経時的に測定し、モルモットの週齢や年齢における変化を検討した。また、免疫組織化学染色により、微小血管の平滑筋構築や神経支配においてもモルモットの週齢、年齢による変化を検討した。 骨膜組織標本では、3週間、6週間、10週間の微小血管では、α平滑筋アクチンで染色される輪状に走行する血管平滑筋(動脈)の平滑筋構築に変化は認められなかった。この週齢は約半数の血管において自発収縮を発生しており、自発収縮は細胞外カルシウムの除去、ニフェジピンおよびCPAで消失するなど同様な機構で制御されていた。経壁神経刺激により収縮を生じ、週齢の増加とともに収縮のあとに続く弛緩反応が観察される傾向であった。神経性収縮はフェントラミンにより消失、ニトロアルギニンによる増強に変化はなかった。神経性収縮に続く弛緩はニトロアルギニンによって消失した。免疫組織化学染色により、微小血管に沿って交感神経マーカーであるtyrosin hydroxylase陽性神経線維およびサブスタンスP陽性神経線維には、変化は認められなかった。 さらなる解明には骨粗鬆症の背景にある骨代謝の低下が想定される老齢モルモットでの検討が必要であり、一年を超える老齢モルモットに焦点を当てて検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
使用予定の早期老化モデルマウスが、老化モデルとしては十分でないことが明らかとなっため、平成25年度はコントロール動物として使用したモルモットを飼育して、老化モデルとして使用することにした。 骨膜組織標本では、3週間、6週間、10週間の微小血管では、α平滑筋アクチンで染色される輪状に走行する血管平滑筋(動脈)の平滑筋構築に変化は認められなかった。また、各週齢の自発収縮は細胞外カルシウムの除去、ニフェジピンおよびCPAで消失するなど同様な機構で制御されていた。経壁神経刺激により収縮を生じ、週齢の増加とともに収縮のあとに続く弛緩反応が観察される傾向であった。神経性収縮はフェントラミンにより消失、ニトロアルギニンによる増強に変化はなかった。神経性収縮に続く弛緩はニトロアルギニンによって消失した。免疫組織化学染色により、微小血管に沿って交感神経マーカーであるtyrosin hydroxylase陽性神経線維およびサブスタンスP陽性神経線維には、変化は認められなかった。 週齢による変化がわずかなことから、さらなる解明には骨粗鬆症の背景にある骨代謝の低下が想定される老齢モルモットでの検討が必要であり、週齢、年齢に応じたモルモットの骨膜微小循環の動態について若年齢モルモットから再検討を行った。しかしながら、一年を超える老齢モデルモルモットについては検討できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1.老齢モデルモルモットを用いて、老化による骨膜微小動脈変化を検討する。 2.老齢モデルモルモットの血管平滑筋の特徴を見出すため、α平滑筋アクチン、コリンアセチルトランスフェラーゼ、サブスタンスP、カルシトニン関連遺伝子ペプチド、カプサイシン受容体に対する組織染色を行う。 3.老化と収縮反応の関連をみるために、自発活動や神経刺激に対する効果を、コントロールモルモットと老齢モルモットで比較する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
使用予定の早期老化モデルマウスが、老化モデルとしては十分ではないことが明らかとなったため、平成25年度はコントロール動物として使用したモルモットを飼育して、老化モデルとして使用することにした。 週齢、年齢に応じたモルモットの骨膜微小循環の動態について、若年齢モルモットから再検討を行うこととなり、一年を超える老齢モデルモルモットについて検討できなかった。 1.老齢モデルモルモットを用いて、老化による骨膜微小動脈変化を検討する。 2.老齢モデルモルモットの血管平滑筋の特徴を見出すため、α平滑筋アクチン、コリンアセチルトランスフェラーゼ、サブスタンスP、カルシトニン関連遺伝子ペプチド、カプサイシン受容体に対する組織染色を行う。 3.老化と収縮反応の関連をみるために、自発活動や神経刺激に対する効果を、コントロールモルモットと老齢モルモットで比較する。
|