骨粗鬆症における骨代謝異常の背景には「血管の老化」の一面としての骨循環障害の関与が推測され、骨膜に存在する微小血管は骨組織の血流調節に関わると考えられる。本研究では骨膜微小血管の年齢に依存した機能形態的変化を検討した。 3週齢および12ヶ月齢モルモット脛骨より微小血管を含む骨膜組織標本を作成し、血管壁追跡ビデオシステム(DIAMTRAK)を用いて血管径の変化を経時的に計測し、自発活動、神経性収縮の性質を比較した。また免疫組織化学染色により微小血管の平滑筋構築および神経支配について検討を行った。 3週齢、12ヶ月齢モルモットいずれの骨膜組織標本においても、α平滑筋アクチン陽性の血管平滑筋が輪状に配列する動脈(10μm~30μm)と非紡錘形の壁細胞が分布する静脈が識別された。動脈においては自発収縮を生じる血管も観察されたが、12ヶ月齢モルモットでは自発収縮の自発パターンが多様であった。自発収縮の有無に関わらず経壁神経刺激により収縮を生じたが、神経性収縮は3週齢に比べ12ヶ月齢モルモットにおいて減弱していた。神経性収縮はフェントラミンにより消失し、ニトロアルギニンにて増強するが、12ヶ月齢モルモットではその増強作用が増大していた。また12ヶ月齢モルモットにおいてはニトロアルギニン投与により収縮を生じ、自発収縮が誘発された。免疫組織化学染色により、いずれのモルモットともに微小血管に沿って交感神経マーカーであるtyrosin hydroxylase陽性神経線維およびサブスタンスP陽性神経線維が観察されたが、NO陽性神経線維は観察されなかった。またvWFとeNOSはいずれも血管内皮層での局在が観察された。 12ヶ月齢モルモット骨膜細動脈において交感神経性収縮が現弱し、NO産生阻害により自発および交感神経性収縮が増強されたことから、加齢による内皮依存性NO放出の増強が示唆された。
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