研究課題/領域番号 |
24659690
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
廣田 和美 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20238413)
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研究分担者 |
工藤 隆司 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (40613352) [辞退]
櫛方 哲也 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80250603)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ニューロペプチドS / 鎮痛 / ラット / ノルアドレナリン / 神経生理活性物質 / 青斑核 |
研究実績の概要 |
ニューロペプチドS (NPS) のニューロンは、青斑核(LC)に隣接した部位に起始し、覚醒を増強することから、我々が今まで研究してきたオレキシン(OX)と同様に、LCに作用してノルアドレナリン(NA)下行性抑制系を活性化して覚醒および鎮痛作用を発現する可能性があることが考えられたため、ラットを用いて研究を行った。その結果、NPS 10nmolの脳室内投与は、hot-plateテストで鎮痛作用を有するが、tail-flickテストでは認められなかった。大脳皮質スライス標本を用いたin vitroの研究では、OXと異なり、NPS (1pmol - 100nmol)をスライスに暴露させてもNAおよび各種神経伝達物質(グルタメート、ドーパミン、ヒスタミン、アセチルコリン)の放出は認められなかった。また、高K+やOXAによる大脳皮質スライスからのNA放出に対しても、NPSを同時に暴露しても抑制も増強もしなかった。In vitroの結果からは、NPSがLC-NA神経を介して鎮痛作用を発現させているという裏付けは得られなかった。しかし、tail-flickテストでは鎮痛作用が無いことから脊髄反射ではなくあくまで上位中枢を介した作用であることから、In vivoにおいてLC-NA神経を介した反応である可能性を否定できないため、DSP-4 50mg/kg腹腔内投与によりLC-NA神経を破壊して、NPSの鎮痛作用の変化を検討した。また、鎮痛作用を測定した後に、ラットを断頭して大脳皮質内のNA含有量も測定した。その結果、NA神経の破壊度に比例して鎮痛作用は減弱することが分かった(p = 0.017, r2 = 0.346)。以上より、NPSの鎮痛作用はNA下行性抑制系を介していると考えられた。
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