研究課題/領域番号 |
24659691
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小幡 英章 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20302482)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ノルアドレナリン / 脊髄 / α2受容体 / ラット |
研究概要 |
本年度は当初の研究計画に従って「目的1: プレガバリンがLCを活性化して神経障害性疼痛を抑制するのか」に関する研究を行ってきた。臨床においてプレガバリンは急性痛に対してはほとんど効果がなく、神経障害性疼痛に対して有効であることから、神経障害性疼痛を発症したモデルラットと正常ラットを用いて、急性痛と神経障害性疼痛への効果を比較することから開始した。神経障害性疼痛モデルはSpinal nerve ligation(SNL)を用いた。SNLと正常ラットにプレガバリンを腹腔内(3, 10, 30 mg/kg)投与し、paw-pressureテストで逃避閾値を測定して、SNLでは痛覚過敏を、正常ラットでは急性の鎮痛作用を定量化した。プレガバリンは投与量依存性にSNLラットの痛覚過敏を抑制した。研究申請時には正常ラットではほとんど鎮痛作用が起こらないのではないかとの仮説を立てていたが、プレガバリンは投与量依存性に正常ラットでも比較的強力な鎮痛作用を発揮した。これらの作用はα2受容体拮抗薬イダゾキサンの髄腔内投与(30μg)によって消失した。よってプレガバリンを全身投与すると、神経障害性疼痛への作用ばかりでなく、急性の鎮痛作用が起こり、その作用の一部は脊髄で増加したノルアドレナリンの作用によるものであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を行うにあたってはラットにプレガバリンを全身投与して鎮痛作用を検討するため多くのプレガバリンが必要である。プレガバリンはカナダの会社から得ているが、カナダから日本への輸出に半年以上の時間がかかった。そのため実際の実験を始めたのが昨年の11月からであるため、当初、本年度に予定していた研究の多くは今だ未達成になっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の研究計画に沿って進めていくこととする。「目的1: プレガバリンがLCを活性化して神経障害性疼痛を抑制するのか」の残りの研究を行う。まず1)LCへの投与で鎮痛効果を発揮すること、2)その効果は脊髄α2受容体を介して鎮痛効果を発揮すること、3)LCへのプレガバリンの投与で脊髄でNAを増加させること、4) LCの細胞を直接活性化させることなどである。1)と2)は行動実験で、3)はマイクロダイアライシス、4)は免疫染色によって行う。次に「目的2: α2δサブユニットのリガンドがLCを活性化する機序の解明」について研究を進める。目的2ではシナプトソーム、マイクロダイアライシスなどの手法を用いて研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入するものは主に実験動物、薬品・試薬等、消耗品である。実験動物はすべてラット(日本エスエルシー株式会社)を使用する。一匹あたり2200-2300円であり、300匹程度のラットが必要であるため、約70万円ほどの予算が必要である。薬品・試薬等はイダゾキサンのような薬剤、免疫染色用の抗体などであり、高額なものもある。消耗品とは、モデル動物を作成・飼育するための器具、飼料等と、マイクロダイリシスに使用するカラム、プローブ、電極などである。マイクロダイリシスシステムの消耗品にはやはり高額なものがあるため、それなりの予算が必要である。 旅費は成果発表として国内学会に毎年度10万円の旅費を見積もっている。その他の項目の会議費とは、日常的に行っている、申請者の研究グループのセミナーや、外部研究者を招いた時のミーティングを行う際に使用する資料の作製、会場費等に必要な経費である。印刷費とは、論文や報告書の出版に必要な経費である。これらは10万円を見積もっている。
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