研究概要 |
本年では昨年に引き続いてプレガバリンを用いて実験を行った。プレガバリンを神経障害性疼痛のラットモデルであるSpinal nerve ligation(SNL)モデルに腹腔内投与し、paw-pressure testによって下肢の逃避閾値を計測すると、プレガバリンは投与量依存性(3,10,30 mg/kg)に、SNLモデルに生じた機械的痛覚過敏を抑制した。一方、正常ラットに対する機械的侵害刺激(急性痛)に対しても、投与量依存性(1,3,10 mg/kg)に鎮痛作用を示した。これらの作用は共にα2受容体拮抗薬のイダゾキサンの髄腔内投与(30μg)によって消失した。さらに脊髄後角からマイクロダイアライシス方によってノルアドレナリンの変化を調べると、プレガバリンの腹腔内投与(10mg/kg)によってSNLと正常ラットのいずれにおいてもノルアドレナリンが増加した。これらのことからプレガバリンは正常動物でも神経障害性疼痛モデルにおいても青斑核の刺激によって脊髄でノルアドレナリンを増加させ、脊髄のα2受容体を介して鎮痛作用を発揮することが明らかになった。
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