研究課題
本研究の主眼は、周術期因子が認知機能に影響するかを検討し、より安全な麻酔法を確立するものである。動物実験でそのメカニズムを解析するとともに、臨床での後認知機能障害の予防を確立することであった。初年度、麻酔暴露のみではみられなかった認知機能の低下が、手術操作を加えることで明らかになること、また術後痛を鎮痛処置で抑えることで認知機能の低下も抑制できることが判明した。2年目はラットの認知機能に与える機序の解明を研究した。術後モデルのラットを用い、脳におけるNMDA系を介して術後認知機能障害が発現し、脳での炎症反応が認知機能障害に影響を及ぼしている可能性を報告した。上記の結果を受け、最終年度は術後認知機能障害を予防する周術期管理を検討した。術後認知機能障害は高齢のラットにおいて顕著に見られ、その原因が脳の易炎症状態が示唆され、それに対し抗炎症薬投与による脳における抗サイトカイン効果が術後認知機能障害を予防すること報告した(J Anesth 2014)。さらに薬剤投与と同様に術前から運動負荷を加えることで高齢ラットの脳の炎症を予防し、術後認知機能障害も防ぐ可能性を報告した(J Anesth 2014)。以上、本研究を通じ、術後認知機能障害は手術侵襲が脳レベルでの炎症反応を惹起し生じること。加齢が脳の炎症作用を惹起しやすい準備状態となっていること。そのメカニズムとしてNMDA系が関与し、術後認知機能障害の予防がとして、抗炎症薬と同様に術前の運動負荷が効果的であることを示した。
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J Anesth.
巻: 28 ページ: 932-936
10.1007/s00540-014-18321-y
巻: 28 ページ: 78-784
10.1007/s00540-013-1786-2
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_ansth/index.htm