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2012 年度 実施状況報告書

芍薬甘草湯の鎮痛作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24659701
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

井石 雄三  福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60622313)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード芍薬甘草湯 / 芍薬 / 甘草 / ポタシウム電流 / H9c2細胞 / ホールセルクランプ法
研究概要

芍薬甘草湯は、こむらがえりや椎間板ヘルニアなど急激に起こる筋肉の痙攣を伴う疼痛の特効薬としてよく用いられる漢方薬である。本研究の目的は、骨格筋のイオンチャネルに対する芍薬甘草湯の作用を解明し、その鎮痛機序を明らかすることである。
芍薬甘草湯は、芍薬と甘草が1:1で混合されている。われわれの教室では、甘草とその一成分であるisoliquiritigeninが、ラット心筋由来の培養細胞株H9c2細胞のポタシウムイオンチャネルの一つKv2.1電流を抑制することを見出した。そこで、本研究ではH9c2細胞のポタシウム電流に対する芍薬甘草湯、ならびに芍薬と甘草それぞれの作用を調べた。
H9c2細胞のポタシウム電流をホールセルクランプ法で測定した結果、芍薬甘草湯は、濃度依存性にH9c2細胞のポタシウム電流を抑制した。芍薬甘草湯10mg/mlがポタシウム電流をほぼ100%抑制するとして算出したIC50値は約1mg/mlであった。芍薬は10mg/mlの濃度でピーク電流を平均30±8% 抑制したが、その抑制効果は芍薬甘草湯に比べて弱かった。また、甘草は10mg/mlの濃度でピーク電流を平均79±18%抑制し、その抑制効果は芍薬甘草湯に比べて強力であった。さらに、甘草の主成分であるグリチルリチン100μMはポタシウム電流を抑制しなかった。
芍薬甘草湯はH9c2細胞のポタシウム電流を抑制した。こむらがえりに対する芍薬甘草湯の薬理学的機序のひとつとして、細胞内外のポタシウム濃度バランスの正常化が関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究実施計画通りにラット心室筋由来の培養細胞株H9c2細胞を用いて、ホールセルクランプ法によりポタシウムイオンチャネル電流の測定を行い、芍薬甘草湯の成分である芍薬と甘草それぞれの作用を明らかにすることができた。当教室の以前の成果と合わせ、本年度の目標はおおむね達成されたと考え、上記の評価とした。

今後の研究の推進方策

本年度の研究は、当初の計画通り以前から研究手法が確立しているラットの心筋由来培養細胞株を用いたが、今後は、芍薬甘草湯の標的臓器である骨格筋をもちいた研究を進める。
具体的には、芍薬甘草湯をラットに3日間経口投与した後、足から骨格筋を摘出し、RNAを抽出し、それをマイクロアレイ法にて解析し、骨格筋の遺伝子発現に対する芍薬甘草湯の作用を明らかにする。また、血管平滑筋細胞を用いてカレントクランプ法で膜電位を調べ、骨格筋内の血管拡張作用があるかを検討する。

次年度の研究費の使用計画

本年度の研究遂行はおおむね順調であり、次年度使用額は29円の少額となった。これは、翌年度に請求する研究費の補完として使用する。

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公開日: 2014-07-24  

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