筋けいれんを伴う疼痛治療薬である芍薬甘草湯の作用機序を解明するため、骨格筋に分化する心筋由来のH9c2細胞のホールセルパッチ・クランプ法を用いて、電位依存性K+電流(IKur)に対する効果を検討した。 芍薬甘草湯は、濃度依存的にIKurを阻害し、50%抑制濃度は1.3mg/ml、ヒル係数は1.2であった。芍薬甘草湯の成分別では、 IKurを阻害する強さは、甘草、芍薬甘草湯、芍薬であったが、甘草の主成分であるグリチルリジンはIKurを阻害しなかった。本研究結果は、芍薬甘草湯が IKurを阻害してK+流出を減らすことによって、細胞内外のK+バランスを正常化し、筋肉痛を軽減することを示唆する。
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