研究課題/領域番号 |
24659707
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
原田 秀樹 久留米大学, 医学部, 准教授 (30198923)
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キーワード | 齧歯類BISモニタリング |
研究概要 |
実験動物を用いた基礎研究は全ての薬剤開発の初期段階において薬力学やその相互作用を検討する上で必要不可欠である。その過程で脳波に対する影響を確認する事は副作用をスクリーニングする上でも重要な必須項目である。我々は、実験動物で汎用されているラットにおいて、簡便に頭蓋外から脳波導出し既存のBIS(Bispectral Index)モニター装置に連結可能なデバイスを開発し(産業財産権申請;種別:特許願 件名:実験動物用脳波電極 特願2010-174737;久留米大学)、吸入麻酔濃度変化に対する追従性などについて検討し、本助成を用いて当該年度に下記の知見を得た。 熱可塑性ポリエステルであるPET(ポリエチレンテレフタレート)を用い、両翼に5mm長のステンレス製針電極(直径0.5mm)4本を持つ形状を様々に変更し最適な脳波波形を取得する目的で、単極電極を用いて電極間距離を様々に変更し、また取得電極ベクトルを考慮して種々の組み合わせパタンで解析を行なった。 電極間距離を0.5から2mmまで変更した場合、電極間距離が短いと心電図や呼吸によるfar field noiseが現弱するが、脳波波形の振幅が減衰しBISモニタ装置による波形解析が不可能になる。電極間距離を長くすると脳波波形振幅は増大し、肉眼上波形解析は充分であるが、自発呼吸下の深麻酔、特に粗大な呼吸パタンを呈すると呼吸筋あるいは胸腔内インピーダンスを捉えると思われるノイズが大きくなり、BIS値の計算に大きな影響を与える事がわかった。また、脳波のベクトルを動物の頭側から尾側方向と直角に設定すると、心電波形がより混入する場合があるため、電極設定には各種生体電位ベクトルとの整合性を確認する必要がある事が判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度研究により判明した心電波形や呼吸によるインピーダンス変化によると思われるfar field potentialを除去する為の方策に関して、電極間距離や電極選択を施行した結果、電極間距離と電極ベクトルにより、得られる脳波波形の質が大きく異なる事が判明した。 これらの知見を元に、次年度はより精度の高い脳波波形の取得が可能になると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子改変動物が容易に取得可能なマウスにおいて本手法が応用出来れば、多方面への研究発展が望める。今後、脳波デバイスの小型化と同時に既に開発済みのレーザー血流計を用いた脳血流および脳温制御デバイスとをハイブリッドさせて小型化し、さらに体内埋め込みによるフリームービング下モニタリングを可能にさせたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、開発したデバイスの改良に関して質的な変更を、既に臨床で使用後の単極針電極組み合わせる事で施行可能であった為、予定予算を使用する事なく研究遂行が可能であった。 次年度は、脳波電極デバイスの小型化と脳機能汎用デバイスとのハイブリッド化およびフリームービング適応まで応用する為、単年で多額の予算が必要と考えられる。
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