研究課題/領域番号 |
24659708
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
大山 力 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80282135)
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研究分担者 |
畠山 真吾 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (10400136)
坪井 滋 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20526727)
盛 和行 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40266903)
米山 徹 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50587649)
古家 琢也 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60321965)
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キーワード | 前立腺癌 / バイオマーカー / 糖タンパク / 再発予測 |
研究概要 |
個々の前立腺癌症例に対して適切な治療選択を行う上で、前立腺癌の悪性度を反映するバイオマーカーの開発は重要な研究課題となっている。糖転移酵素Core2-1,6-N-acetylglucosaminyltransferase (C2GnT) は糖タンパク質に分岐型コア2糖鎖構造を形成する酵素であり、私達の研究グループは、その発現が肺癌、大腸癌、精巣腫瘍、膀胱癌、前立腺癌の悪性度と相関することを報告してきた。しかしながら、これまでの報告はC2GnTの検出にウサギに免疫することにより得られたポリクローナル抗体を使用しており、その特異性、抗体の安定性に欠ける部分もあった。そこで、新たにマウスに免疫することで得たC2GnT特異的なモノクローナル抗体を作製し、前立腺癌の悪性度とC2GnT発現の相関を免疫組織化学的に検討した。 新規に作製した抗C2GnTモノクローナル抗体により前立腺全摘除術で得られた前立腺癌パラフィン切片を用いて組織染色を行ったところ、正常前立腺組織ではC2GnT発現は見られず、前立腺癌組織においてはC2GnT発現陰性例と陽性例が存在した。そこで、C2GnTの染色性により2群に分け、臨床データと照らし合わせたところ、C2GnT陽性例は癌の前立腺外への進展率が優位に高く、腫瘍サイズが有意に大きいことが明らかとなった。さらに、C2GnT陽性群は陰性群に比べ術後PSA再発率が有意に高く(p<0.001)、 切除縁癌陽性、iPSA、High Riskと共に独立した術後PSA再発の危険因子であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新規開発を試みたモノクローナル抗体の樹立が予想よりも早く達成できた。さらに、このモノクローナル抗体の用途が広く、パラフィン切片でも使用可能であることが確認されたため、前立腺癌組織におけるC2GnT発現の意義に関する検討が予定よりも早期に実行可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
新規に開発した抗C2GnTモノクローナル抗体を使用して、前立腺組織におけるC2GnTの発現の意義をさらに明確化していく。これまでは前立腺全摘標本のみであったが、生検標本、血清、尿、前立腺圧出液、精嚢液も対象に含めて検討する。
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