研究課題/領域番号 |
24659711
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
高山 達也 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90324350)
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研究分担者 |
大園 誠一郎 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00183228)
高岡 直央 浜松医科大学, 医学部, 研究員 (30467229)
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 不妊症 / 再生医学 |
研究概要 |
平成24年度に実施した項目は以下の4項目である。 1)ラット不妊モデルの作製条件の検討:野生型LEW雄ラットの精巣(陰嚢)を42℃の恒温槽で熱処理により不妊化する。麻酔下15分、30分、45分、60分の条件で精巣を熱処理し、24時間後に精巣を摘出して病理検討を行った。15分では非熱処理群と同様で、30分以上で精原細胞等の肥大化や空洞化が確認された。45分と60分熱処理群で精巣内部で出血が確認された為、本研究では30分の熱処理を採用する事にした。2)遺伝子組み換えラットの間葉系幹細胞の樹立:遺伝子組み換えラットから皮下脂肪を摘出し、脂肪組織由来間葉系幹細胞を樹立した。膜抗原の発現有無および骨・軟骨・脂肪細胞への分化誘導の確認を行い、既報の間葉系幹細胞と同様であることを確認した。3)細胞投与ルートの検討:陰茎静脈からの投与ルートは移植したLuciferase-Tgラット由来間葉系幹細胞の分散化がin vivo imaging systemの解析実験より顕著であった。そこで精嚢を切開して精巣を露出させ、直接細胞移植を行った結果、効率良く移植細胞が集積した。しかし露出した精巣を再度、精嚢に戻す操作が煩雑である事から、切開をせずに直接、精巣に細胞を移植した結果、精巣を露出した場合と同様の集積が確認された。4)精巣組織の修復効果の検討:オス不妊モデルラットに細胞をHeat shock24時間後の精巣に移植し、移植3週間目に精巣を摘出し、病理評価を行った結果、3回投与群においては正常ラットと同レベルのHE像およびPCNA陽性率であった。また抗Luciferase抗体を用いて免疫染色を行った結果、全例でLuciferase陽性細胞(移植した間葉系幹細胞)は確認されなかった。 以上の実験結果により、不妊ラットモデルの条件を確立・移植細胞の樹立・投与ルートの決定そして精巣賦活効果を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
間葉系幹細胞移植による精巣賦活化の検討の一部は平成25年度に実施する内容であった事から当該評価にした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は以下の3項目について検討をする。 精巣組織の修復効果の検討:最適投与回数と細胞数を検討する。 細胞融合に関する検討:Ds-Red遺伝子を組込んだ不妊化モデルLEW雄ラットにGFP遺伝子を組込んだ間葉系幹細胞を移植し、先の実験で決定した治療完了時期に精巣を摘出する。その後、精子および精巣組織をコラーゲナーゼ細胞分離法にて構成している各細胞を回収し、蛍光顕微鏡下にてDs-RedおよびGFP陽性細胞の分布性(『独立発光:非細胞融合』・『重合発光:細胞融合』)を明確にする。 造腫瘍性に関する検討:不妊化モデル雄ラットにLacZ遺伝子およびLuciferase遺伝子を組込んだ間葉系幹細胞を移植し、長期間飼育(180日間以上)を行う。また、IVISを用いて発光輝度の『増強』や『範囲の拡大』の有無について経時的に移植細胞の動態を追跡する。移植細胞の拡大が確認された場合には移植部位を含む周辺流域を摘出し、LacZ染色を行う事により、『移植細胞由来の肉腫』かまたは『移植細胞の宿主細胞に対する間接的な影響』なのかについて明確にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
大型機器の購入予定はなく、消耗品費(動物の飼料・動物購入費、動物実験試薬購入費、検査試薬購入費、細胞培養試薬購入費)および共同研究打ち合わせのための旅費に用いる予定である。
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