研究課題/領域番号 |
24659711
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
高山 達也 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90324350)
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研究分担者 |
大園 誠一郎 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00183228)
高岡 直央 浜松医科大学, 医学部, 研究員 (30467229)
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 不妊症 / 再生医学 |
研究概要 |
精巣組織の修復効果の検討:前年度に決定した温熱処理による不妊モデルラットの精巣に脂肪組織由来間葉系幹細胞(MSC)を5.0 x 10e5細胞個を3回投与し、3週間後に病理組織を作製した。HEおよびPCNAの染色結果は前年度の実験結果を再現した。次に、不妊モデルラット治療群(MSC投与群)と非治療群(生理食塩水投与群)に、8週齢メスの野生型LEWラットを交配させ、生殖機能の治療効果を検討した。治療群ではメス1匹あたり2~4匹の出産、一方、非治療群では0~1匹(メス5匹中1匹が出産)の出産であった。野生型を交配した場合にはメス1匹あたり4~8匹の出産が確認される事から、生殖機能の完全回復とは考えられないが、少なくとも有効である事が判明した。 細胞融合に関する検討:EGFP遺伝子を組込んだ不妊モデルTgラットの精巣にLuciferase遺伝子を組込んだTgラット由来MSCを移植し、Living imaging systemを用いて細胞動態の追跡および細胞融合の可能性について検討した。移植治療3週間目に精巣を摘出し、抗EGFP抗体および抗Luciferase抗体による多重染色を行った。Luciferase抗体に反応した細胞はなかった。そこで、細胞移植3日目の組織を免疫染色した結果、EGFP陽性細胞とLuciferase陽性細胞がそれぞれ独立して存在していた。次にEGFP遺伝子を組込んだメスラットと交配し、出産した新生児にEGFP陽性個体は確認されたが、Luciferase陽性個体およびLuciferase-EGFP二重陽性個体の出産は確認されなかった。 造腫瘍性に関する検討:不妊モデルオスラットおよび野生型オスラットに脂肪組織由来MSCを移植し、6か月間の生存実験を行った。腫瘍性を疑う所見は確認されなかった。また、精巣の病理学的検査を行った結果、腫瘍を示す像は確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、Ds-Red遺伝子を組込んだTgラットを「細胞融合に関する検討」の項目で使用する予定でいたが、蛍光性が弱い事からEGFP遺伝子を組込んだTgラットに変更した以外は計画通りに進行した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は以下の1項目について検討をする。 高齢雄ラットを用いた生殖能賦活化に関する検討:生殖能力が皆無になった高齢LEW雄ラットに間葉系幹細胞を移植し、精子形成の再開の可能性について調査を行う。数回LEW雌ラットと交配して妊娠に至らない事を確認した高齢LEW雄ラットに間葉系幹細胞を移植し、治療期間後に再度、LEW雌ラットと交配し、妊娠に至る事を確認する。妊娠に至らない場合においては、精巣を摘出し、病理切片の作製を行いHE染色にて組織の状態(精原細胞・幼若精子・セリトリ細胞などの形態や細胞数)を確認し、少なくとも生殖細胞の賦活化に移植細胞が寄与しているかどうかを評価する。
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