研究課題/領域番号 |
24659716
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
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研究分担者 |
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264733)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40326153)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70444966)
濱本 周造 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80551267)
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キーワード | 尿路結石 / オステオポンチン / マクロファージ / ミトコンドリア |
研究概要 |
I. 抗オステオポンチン(OPN)抗体を用いた分子標的治療薬:抗オステオポンチン抗体を作成し、モデルラットで結石の形成抑制を行った。電子顕微鏡による形成抑制された結石の詳細な観察を行った。 II. 腎尿細管細胞ミトコンドリア障害に着目した治療薬:ミトコンドリア膜輸送体であるcyclophilin Dのノックアウトマウスを用いて、結石形成機序を解明し、その制御薬による結石抑制を試みた。腎尿細管細胞やミトコンドリアの形態、酸化ストレスなどの変化を画像解析と発現の定量化で比較、評価している。Cyclopihlin D活性を抑制する薬剤NIM811を投与し、酸化ストレス発生の抑制と結石の抑制を試みた。 III. マクロファージ(Mφ)による結晶貪食作用を応用した結石溶解療法:単球刺激因子(CSF-1)遺伝子変異を有するMφ機能不全マウス(op/op;B6C3Fe a/a-CsfIop/J)を用い、Mφ欠損による結石形成・消失の動向を検証した。グリオキシル酸(80mg/kg)を連日腹腔内投与し、結石の増加・消失を比較すると共に、腎組織でのMφの動向を免疫組織化学的、電子顕微鏡的(TEM, SEM)に観察した。さらにMφをM1 MφとM2 Mφにわけて評価し、それぞれの結石形成と消失への役割を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
I. 抗オステオポンチン(OPN)抗体を用いた分子標的治療薬:抗オステオポンチン抗体による結石抑制効果については順調に研究をすすめている。モデルサルの開発が完成していないため、やや遅れている。 II. 腎尿細管細胞ミトコンドリア障害に着目した治療薬:ミトコンドリア膜輸送体であるcyclophilin Dのノックアウトマウスと抑制薬剤を用いて、結石形成機序を解明し、その制御薬による結石抑制を試みた。cyclophilin D欠損マウスとwild typeで、腎尿細管細胞やミトコンドリアの形態、細胞内カルシウム濃度、酸化ストレスなどの変化を画像解析と発現の定量化で比較、評価した。抑制薬剤NIM811で結石形成を抑制することに成功した。この部分では概ね達成している。 III. マクロファージ(Mφ)による結晶貪食作用を応用した結石溶解療法:単球刺激因子(CSF-1)遺伝子変異を有するMφ機能不全マウス(op/op;B6C3Fe a/a-CsfIop/J)を用い、Mφ欠損による結石形成・消失の動向を検証した。結石モデルマウス腎のMφをM1MφとM2Mφにわけて存在と機能を検討し、M2Mφが結石消失に作用していることを見いだした。この部分では概ね達成している。
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今後の研究の推進方策 |
I. 抗オステオポンチン(OPN)抗体を用いた分子標的治療薬の開発:平成25年に引き続き、結石モデルサルの作成に取り組んでいく。 II. 腎尿細管細胞ミトコンドリア障害に着目した治療薬の開発:ミトコンドリア膜に存在するMPTP(mitochondria permeability transitional pore)の中心構造であるcyclophilin Dに着目して研究を進める。Cyclophilin D欠損マウスを用いて、結石形成時のミトコンドリア傷害が関与するメカニズムについて検討していく。Cyclophilin Dを特異的に阻害するNIM811 (N-Methyl-4-isoleucine cyclosporine)を用いて結石予防薬の開発を目指す。 III. Mφによる結晶貪食作用を応用した結石溶解療法: 尿路結石患者と非結石者(各100名)から血液および24時間尿を採取し、Bio-Plex サスペンションアレイシステムを用いて51種類のサイトカインを同時に測定し、各物質に関し群間で有意差検定を行う。選定されたマーカーについて、Mφ機能とヒト尿路結石のリスク因子としての有用性を確認していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物を用いた研究が予定よりやや遅れており、次年度に行うこととなった。 成果発表を行う学会での出張が少なくなり、次年度に実施する予定である。 前項の研究を遂行するため、試薬を購入する。主に遺伝子関連試薬、抗体、一般試薬などである。また、実験動物を使用した研究があるため、購入と飼育費用が必要となる。研究を円滑に遂行するための実験助手の費用が必要となる。得られた研究成果の発表と情報収集のために、日本泌尿器科学会、米国泌尿器科学会などに出張するため、旅費が必要となる。
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