研究課題/領域番号 |
24659718
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
東 治人 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40231914)
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研究分担者 |
鈴木 実 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (00319724)
稲元 輝生 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20330087)
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90209916)
右梅 貴信 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90388265)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 浸潤性膀胱癌 / 硼素中性子補足療法 / BNCT / 硼素 / 標的粒子線治療 / 硼素化合物 / 膀胱温存療法 / 加速器BNCT |
研究概要 |
「研究の目的」硼素中性子捕捉療法(BNCT)は、癌細胞選択的に取り込まれる硼素(10B)化合物を予め投与しておき、熱中性子線を照射することにより、10Bを殆ど取り込まない正常細胞は障害されないが、10Bを多く取り込んだ癌細胞では細胞内部で硼素と熱中性子の核反応が生じ、核反応により発生した高エネルギーのα線と7Li粒子が癌細胞を選択的に破壊するという、“癌選択的な標的粒子線治療である。 我々は、1) 膀胱周囲組織に極めて高濃度の硼素化合物を投与可能とする“BOAI法”(血流塞栓用バルーン付カテーテルを用いて膀胱動脈選択的に硼素化合物を動脈内投与する)を用いて、2)膀胱癌細胞、特に核内に選択的に集積、移行するべく特殊加工した“膀胱癌細胞親和性硼素化合物”を作成、投与することによって、膀胱癌細胞により選択的に高濃度の硼素化合物を取り込ませ、癌細胞を選択的に破壊するBOAI-BNCT法を考案した。 「本年度の業績」 “膀胱癌細胞親和性硼素化合物”の作成: 膀胱癌細胞の核内に選択的に集積、移行するべく特殊加工した膀胱癌細胞親和性硼素化合物を作成中である。硼素化合物(BSH)を、腫瘍に高発現するtransferrin(TF: 腫瘍細胞に選択的に取り込ませるため)、および、polyethylene glycol(PEG: 網内系への取り込みを抑え、静脈中に高濃度のliposomeを保つため) でcoatingしたliposome内に包埋し、さらに核移行シグナル(NLS)を付加した“BSH-TF-PEG-liposome”を作成し、また、膀胱癌細胞表面抗原であるurinary bladder cancer antigen (UBC)に対する抗体を硼素化合物表面に付加することによって、より膀胱癌細胞に親和性の強い硼素化合物を開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
“膀胱癌細胞親和性硼素化合物”の作成:について 現在、膀胱癌細胞の核内に選択的に集積、移行する膀胱癌細胞親和性硼素化合物を作成中であり、硼素化合物(BSH)を、腫瘍に高発現するtransferrin、polyethylene glycol(PEG: 網内系への取り込みを抑え、静脈中に高濃度のliposomeを保つため) でcoatingする時点まで進んでいる。 今後、このBSH-TF-PEGを、liposome内に包埋し、さらに核移行シグナル(NLS)を付加した“BSH-TF-PEG-liposome”を作成する予定である。また、膀胱癌細胞表面抗原であるurinary bladder cancer antigen (UBC)に関しては、現在抗体を作成中である。全体として予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、硼素化合物(BSH)をtransferrin、および、polyethylene glycol(PEG) でcoatingした、BSH-TF-PEGを、liposome内に包埋し、さらに核移行シグナル(NLS)を付加した“BSH-TF-PEG-liposome”を作成する予定である。また、膀胱癌親和性硼素化合物が完成した際には、ラットを用いたモデルにてBOAI法による硼素化合物投与を施行し、膀胱周囲組織への局所的高濃度投与状況を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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