研究課題
「研究の目的」硼素中性子捕捉療法(BNCT)は、癌細胞選択的に取り込まれる硼素(10B)化合物を予め投与しておき、熱中性子線を照射することにより、10Bを殆ど取り込まない正常細胞は障害されないが、10Bを多く取り込んだ癌細胞では細胞内部で硼素と熱中性子の核反応が生じ、核反応により発生した高エネルギーの中性子と7Li粒子が癌細胞を選択的に破壊するという、“癌選択的な標的粒子線治療である。我々は、1) 膀胱周囲組織に極めて高濃度の硼素化合物を投与可能とする“BOAI法”(血流塞栓用バルーン付カテーテルを用いて膀胱動脈選択的に硼素化合物を動脈内投与する)を用いて、2)膀胱癌細胞、特に核内に選択的に集積、移行するべく特殊加工した“膀胱癌細胞親和性硼素化合物”を作成、投与することによって、膀胱癌細胞により選択的に高濃度の硼素化合物を取り込ませ、癌細胞を選択的に破壊するBOAI-BNCT法を考案した。「本年度の業績」 ① “マウス膀胱癌モデル”、および、“マウス baloon occluded arterial infusion モデル”の作成: マウスにて上記2つのモデルを確立した。② 膀胱癌細胞の核内に選択的に集積、移行するべく特殊加工した膀胱癌細胞親和性硼素化合物の作成: 硼素化合物(BSH)を、腫瘍に高発現するtransferrin(TF: 腫瘍細胞に選択的に取り込ませるため)、および、polyethylene glycol(PEG: 網内系への取り込みを抑え、静脈中に高濃度のliposomeを保つため) でcoatingしたliposome内に包埋し、さらに核移行シグナル(NLS)を付加した“BSH-TF-PEG-liposome”を作成し、また、膀胱癌細胞表面抗原であるurinary bladder cancer antigen (UBC)に対する抗体を硼素化合物表面に付加することによって、より膀胱癌細胞に親和性の強い硼素化合物を開発中である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Oncol Lett
巻: 6 ページ: 1015-1020
24137456
Int J Oncol.
巻: 43 ページ: 1087-94
23934264
巻: 43 ページ: 79-87
23624911