プロトタイプの作成を行った。方法)多数の電極をガラスエポキシ樹脂の基盤回路の上に二次元アレイ配置し、個々の電極間のインピーダンスを測定周波数20kHzに固定して計測するシステムを作成した。これをオムツ材料と同じ吸水性ポリマーシート下におくと、乾燥状態では電極間に電流は流れないが、電解質液がオムツを濡らすと個電極間の電流のインピーダンスが変化する。このシステムについて1%リン酸緩衝化食塩水を試験溶液とし、シリンジポンプを用いて滴下速度を変化させてインピーダンスの分布を検討した。 結果)インピーダンス(アドミッタンス)の時間毎の分布はテスト溶液のしみ込みにしたがって変化した。また電解質溶液の滴下速度を変化させるとアドミッタンス分布の伝播速度も変化した。滴下速度とアドミッタンス分布の変化速度をプロットすると、この実験系では流量1-11ml/secの範囲において伝播速度は流量に比例することが示された。 考察)インピーダンス変化をプロットすることで、オムツ内への尿のしみ込み速度を計測することが可能であった。本原理を応用することでオムツ組み込み型の尿流測定装置の作成が可能となった。本原理によるオムツ組み込み型の尿流測定装置は、1)出生後の正常排尿発達、2)二分脊椎などの先天性神経因性膀胱、3)乳幼児期の尿道下裂手術の術前後の評価、4)寝たきりの成人の排尿解析、などの患者への適用が期待される。
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