研究課題/領域番号 |
24659724
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 昭久 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (10547095)
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研究分担者 |
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 教授 (20235493)
宮本 強 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (70418721)
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キーワード | C2GnT1 / 子宮内膜癌 / 予後因子 / 糖転移酵素 / core2分枝 |
研究概要 |
core 2 β1-6 N-acetylglucosaminyl transferase 1 (C2GnT1)は、O-glycan鎖のcore 2分枝形成にかかわる糖転移酵素である。Core 2分枝の先端にはシアル化ルイスX抗原(SLX)など、血管内皮接着や転移にかかわるとされる糖鎖が形成されるため、その高発現と腫瘍細胞の悪性度上昇との関連が報告されている。そこで、本研究では、子宮内膜癌でのC2GnT1発現とその機能について検討する。まず、正常子宮内膜30例と子宮内膜増殖症15例、子宮内膜癌84例に対してC2GnT1免疫染色を行い、陽性細胞の割合をpositivity index (PI)であらわし、予後との関連を検討した。正常子宮内膜(PI = 0.52 ± 1.24)に比較して、子宮内膜癌(PI: 8.31 ± 15.29)では有意に発現が亢進していた(P < 0.0005)。C2GnT1は筋層浸潤部位で特に強く発現する傾向を認め、PI≧10のC2GnT1高発現症例は全体の24%で、多変量解析で独立した予後不良因子であった(P = 0.017)。 次に子宮内膜癌細胞株IshikawaにC2GnT1発現プラスミドを遺伝子導入し、増殖能(WST-1アッセイ)、浸潤能(マトリゲル浸潤アッセイ)や遊走能(細胞遊走アッセイ)を検討したが、現在までに差を見出せていない。現在、他の細胞株にC2GnT1遺伝子導入を行い、機能解析中である。 また、卵巣癌についてもC2GnT1発現を検討したが、子宮内膜癌と異なり81%と高頻度に強発現(PI≧10)が認められた。これは卵巣癌において血清SLX上昇例が多いこととの関連が考えられる。一方、子宮内膜癌では一般にSLX高発現は知られておらず、他の糖鎖抗原生成に関与していることが考えられる。
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