研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究の目的は、「ヒト精子の運動能を高めて人工受精の効率をあげる安全な方法を確立する」事にある。我々は、着床時に胚と子宮内膜で相同的に結合する細胞接着分子“トロフィニン”の研究を進めてきたが、その課程でトロフィニンに結合するペプチド:GWRQを同定するに至った。さらにトロフィニンがヒト精子の尾部分に発現しGWRQペプチドが精子運動能を亢進させる事実をも見いだした。本研究では GWRQペプチドを精子に添加し、活性化された精子による受精効率の改善および着床前後の胚発生の過程にたいする影響をマウス卵を使って、またトロフィニン・ノックアウトマウスの精子を用いて検証する。また、GWRQペプチドはマウスの精子の運動能も増幅するため、マウスの精子運動もCASAを用いて定量的に分析る。平成24年度では、「GWRQペプチドが精子表面に発現したトロフィニンを介して効果を発揮し、運動能を亢進する」という仮説を我々が作成したトロフィニン・ノックアウトマウスより採取したトロフィニン欠損精子を用いて検証した。GWRQペプチドを野生型マウスとトロフィニン・ノックアウトマウスから採取した精子にそれぞれ加えて、CASA (computer assisted sperm analyzer)で運動率を詳細に測定したところ、野生型ではGWRQペプチドにより運動率が亢進したが、トロフィニン欠損マウスの精子では変化がなかった。よって、GWRQペプチドの効果がトロフィニンに依存性である事を確認できた。さらに、GWRQペプチドで処理した精子の受精能をマウスの未受精卵を用いたIVFで定量的に検討した。IVFで得られたマウスの受精卵は、擬似妊娠マウスに胚移植して胎仔をつくり胎仔期および産後成長期も含めて何らかの異常が観られるか否か、すなわちGWRQペプチドで処理した精子が「胎仔に与える影響」について検討中である。
2: おおむね順調に進展している
GWRQペプチドの効果がトロフィニンに依存性である事を確認できた。さらに、GWRQペプチドで処理した精子が「胎仔に与える影響」について検討中でありおおむね順調に進展している。
GWRQペプチドで処理した精子の受精能をマウスの未受精卵を用いたIVFで定量的に検討する。具体的には、IVFで得られたマウスの受精卵を擬似妊娠マウスに胚移植して胎仔をつくり胎仔期および産後成長期も含めて何らかの異常が観られるか否か、すなわちGWRQペプチドで処理した精子が「胎仔に与える影響」について検討を続ける。
該当なし
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