多嚢胞性卵巣症候群の病態にインスリン抵抗性が深く関わることが報告されている。このことからメトフォルミンなどのインスリン感受性薬が使用され、約半数の症例に排卵周期の改善が認められることが報告されている。食酢はシーズニングとして使用されるのみではなく、殺菌などを目的として使用されているが、最近になり血糖低下作用を有するとの報告がなされている。今回食酢の多嚢胞性卵巣症候群への影響を検討することとした。 当院の倫理委員会の承諾を得、インフォームドコンセントを行い同意を得た患者を対象としている。日本産科婦人科学会の診断基準にて多嚢胞性卵巣症候群と診断された患者を対象とし、1日1回酢酸飲料(100ml中酢酸750㎎含有)を90~120日間投与している。月経周期および排卵の有無を確認し、投与前および投与90~120日後のHOMAR、LH FSH比、総testosteroneの測定を行っている。 現在までに7人多嚢胞性卵巣症候群患者にりんご酢飲料を1日1回投与しているが、7人中4人に月経周期の改善が認められ40日以内に排卵を伴う月経の再開を認めた。また、HOMA-Rの改善はすべての症例に認められた。またLH/FSH比は7人中4人に認められた。 現在、対象として乳酸飲料をクロスオーバー方式にて投与する予定であるが、本院は、不妊症の患者が多く、乳酸投与期間が存在することに抵抗を示される患者が多いのが現状である。よって現在も患者登録を行っている状況である。
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