研究課題/領域番号 |
24659731
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
原田 省 鳥取大学, 医学部, 教授 (40218649)
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研究分担者 |
伊澤 正郎 鳥取大学, 医学部, 特任教授 (50032222)
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キーワード | 子宮内膜症 / アロマターゼ遺伝子 / 高エストロゲン環境 / エストロゲン受容体発現 / エストロゲン受容体バリアント / 組織特異的プロモーター活性 / 選択的翻訳 |
研究概要 |
アロマターゼ遺伝子の高発現は、子宮内膜症病変組織に高濃度エストロゲン環境をもたらしている。この高濃度エストロゲン環境と密接にリンクするエストロゲン受容体(ER)の病理的意義は、内分泌療法剤の有効性から認知されている。しかしながら、ER発現の理解は、α型とβ型の発現量比による議論で停滞している。 最近、私共は、異なる機能性を想定させるERバリアント発現を示唆する予備研究成果を得た。本年度は、これらの観察をもとに、想定されるα型ERバリアントの発現を検証し、それらの分子基盤の詳細を解明することを目標とした。 ER発現の分子基盤を検証することを目的に、以下の(1)から(5)の研究を実施した。 (1)子宮内膜症患者由来間質細胞初代培養(子宮内膜症細胞)と正所性子宮内膜由来間質細胞初代培養(子宮内膜細胞)の調製。(2)子宮内膜症細胞と子宮内膜細胞におけるERスプライスバリアント発現の検証。(3) ER mRNA発現へ関与するプロモーターの検証。(4)ウエスタンブロットによるER発現の検証。(5)新たに発見した新規α−型エストロゲン受容体の同定。この中で、(5)は新規のER分子の発見へつがることが期待されるため、その同定に研究を集中した。 これらの研究により、子宮内膜症細胞と子宮内膜細胞におけるER発現の基本的分子基盤が明らかとなった。重要な発見は、α型ERの分子型は66KDaの野生型とは異なり、55KDaの新規ER受容体バリアントであることを示唆する結果を得た事である。質量分析による直接同定を試みているが、現時点で未だ証明には至っていない。しかし、この観察は、「選択的翻訳メカニズムによるERバリアント分子の発現」と言う、新たな研究課題を提示した。新規ER受容体バリアントの発見により、新たな検討課題へつながるものと期待される。
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