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2013 年度 実施状況報告書

電子スピン共鳴法による胎児酸化ストレスの新しい評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24659734
研究機関大分大学

研究代表者

西田 欣広  大分大学, 医学部, 准教授 (10336274)

キーワード胎児 / 酸化ストレス / 電子スピン共鳴法 / 胎児機能不全 / 胎盤
研究概要

周産期医学の1つの目標として胎児の状態を非侵襲的かつ安全にどのように把握できるかということが重要な課題である。分娩時は子宮の持続的、間歇的な収縮に伴い子宮筋層内を走行するラセン動脈などの動脈が圧迫され、絨毛間腔の血流が減少し胎児は低酸素状態になる。予備能力が十分にある胎児(これをreassuring fetal status: NFSという)であれば、通常の子宮収縮に伴う血中酸素分圧が低下しても胎児心拍モニタリングには影響を及ぼさない。しかし、胎盤機能不全などにより予備能力が低下し、慢性的な低酸素状態になっている胎児では、化学受容体を介して、また直接的な胎児心筋に対する抑制作用のために胎児徐脈が出現し、危険な状態に移行していく。ここまで進行すると現在の胎児評価である胎児心拍モニタリングの異常、出生後の胎児臍帯動脈pH値の低下、低Apgar scoreなどが観察される。このような陣痛に伴う子宮筋の虚血再灌流状態では大量の活性酸素種(ROS)が産生され、過剰な酸化ストレスが生じていることが推測される。これまでの我々の研究で酸化ストレス時の評価として、血中の抗酸化物資の中で、最も酸化ストレスに速やかに反応するビタミンC(増加したROSを中和する)に着目して、電子スピン共鳴法による測定法の有用性を報告している。分娩時の酸化ストレスにより異常分娩時にはビタミンC値の著明な低下がみられることは昨年度までの研究で判明しており、今後は分娩時のビタミンC補給が分娩時の酸化ストレスを軽減させ、児の予後を改善させるかが課題となっている。これまでの胎児評価法で観察される状態より前の段階での酸化ストレス評価法は確立されておらず、本研究は、健常胎児からnon-reassuring fetal status(non-RFS)に至る過程の解明につながると考えており、今後の分娩時の抗酸化療法の可能性についても考察する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基本研究は概ね終了し、達成結果を英文誌にて報告、受理されている。
Yoshihiro Nishida, Shigekiyo Matsumoto, Takashi Noguchi, Hishashi Narahara: New evaluation of fetal oxidative stress:measurement of the umbilical cord blood dimethyl sulfate-induced ascorbyl free radical by an electron spin resonance method. J Maternal-Fetal Neo Med, 25(1):2499-2502,2012.

今後の研究の推進方策

現在、さらに胎児機能不全の妊婦においてビタミンCの分娩時(手術前)投与により、臍帯血ビタミンCラジカルの改善と胎児の状態の改善が関連しているかを追跡調査している。(本学IRB承認研究)

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Non-reassuring fetal statusと診断された胎児の酸化ストレスマーカーの解析2012

    • 著者名/発表者名
      西田欣広、石井照和、吉良尚子、楢原久司
    • 学会等名
      第48回日本周産期・新生児学会総会
    • 発表場所
      大宮ソニックシティ
    • 年月日
      20120708-20120710
  • [学会発表] Non-reassuring fetal statusにおける酸化ストレスの解析2012

    • 著者名/発表者名
      西田欣広、楢原久司
    • 学会等名
      第12回日本抗加齢医学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20120622-20120624
  • [学会発表] 胎児酸化ストレスにおけるmalondialdehydeとフリーラジカルとの関連および候補蛋白の抽出2012

    • 著者名/発表者名
      西田欣広、石井照和、吉良尚子、楢原久司
    • 学会等名
      第64回日本産科婦人科学会学術講演会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      20120413-20120415

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公開日: 2015-05-28  

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