研究課題/領域番号 |
24659736
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 聖子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253527)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / 癌幹細胞 |
研究概要 |
子宮体癌の癌幹細胞形質獲得機構における精巣特異的発現遺伝子dbpC/contrin(以下dbpC)の関与を検討するとともに、癌幹細胞マーカーの同定を試みた。 1)子宮体癌細胞株Ishikawa(IK)細胞株にdbpC発現ベクターを形質導入 し、過剰発現株(IK-dbpC細胞)を樹立し、幹細胞マーカーALDH1の発現とside-population (SP)細胞の出現率を解析したところ、IK-dbpC細胞はmock細胞に比べて幹細胞マーカーALDH1の発現が亢進し、約10倍のSP出現率をみとめた。dbpC-siRNAにより抑制するとSP出現率とALDH1の発現は低下した。2)Microarray解析を行い、dbpC発現細胞と非発現細胞間で発現量に 差がある遺伝子群の解析を行ったところ、mock 細胞に比べIK-dbpc細胞では癌精巣抗原CT45の発現が約1000倍亢進していた。 3)ヌードマウスにIK-dbpc細胞、IK-dbpC SP細胞とmock細胞を皮下移植し造腫瘍能の検討を行ったところ、IK-dbpC細胞はmock細胞に比べて腫瘍能は低下した。 4)発現が亢進した遺伝子について同意を得た子宮体癌100例の検体を用いて組織型、進行期、予後との相関の検討を行ったところ、低分化、臨床進行期が進むほどCT45の発現頻度が高くなる傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今までの研究成果により、dbpC/contrinは癌幹細胞の形質発現に関与しており、精巣癌抗原であるCT45は癌幹細胞のマーカーになる可能性が示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
1) マイクロアレイやメチレーションアレイを用いて、CT45のほかにmock 細胞に比べてIK-dbpC細胞やIK-dbpC-SP細胞に発現が亢進している遺伝子やメチレーションの状態を網羅的に検索する。 2) mock細胞、IK-dbpC細胞、IK-dbpC-SP細胞における上記6)でスクリーニングされた遺伝子群の発現をreal-time PCR、Western blot法で確認する。 3)1)で発現亢進が確認された遺伝子については、クローニングし、発現ベクターに組み込み、IKに形質導入し、幹細胞形質、造腫瘍能等を解析し、IK-dbpC細胞やmock細胞と比べる。また、そのsiRNAを作製し、発現抑制系での変化を解析する。 4)上記解析にて、幹細胞マーカーの候補となった遺伝子はついては、他の子宮体癌細胞株のSP細胞、non-SP細胞や同意を得て採取された臨床検体を用いて、子宮体癌組織での発現を解析する。 5)アレイからパスウエイ解析を行い、幹細胞形質に関与するシグナル経路を同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)IK-dbpC細胞とmock細胞の間で発現の差がある遺伝子やメチレーションのスクリーニングの ため、アレイ解析を 初年度に予定しておりこのための経費が必要である。 (メチレーションアレイ解析:1000,000円、データ解析用PC:200,000円) 2) 細胞培養の培地、増殖因子、抗体、試薬等のための経費が必要である。 (300,000円/2年) 論文発表の際の英文校正・印刷代が必要である。(200,000円)
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