研究課題/領域番号 |
24659742
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
秦 健一郎 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (60360335)
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キーワード | 染色体診断 / 一塩基多型 |
研究概要 |
流産や死産など、ヒト発生異常の解析においては、様々な胎児あるいは絨毛の核型(正常二倍体、異数体、父アイソダイソミー、父ヘテロダイソミー、母アイソダイソミー、母ヘテロダイソミーなど)が想定され、さらにそれらのモザイク及びキメラ(母体組織混入を含む)も加わり、染色体診断が極めて困難な事が稀ではない。従来の分子遺伝学的な手法である遺伝マーカー検査やアレイCGHなどでは、これらを鑑別して診断することが困難である。しかし、網羅的定量的な一塩基多型解析を応用すれば、検体中に含まれるゲノムの由来と、複数のゲノムの混合率を判定可能である。本研究では、ヒト発生異常検体で想定され得る複数ゲノム混在の組み合わせと予想される一塩基多型頻度をモデル化し、実測値との比較により複雑なゲノム構成の染色体診断を可能とする、画期的なデジタルカリオタイピングアルゴリズムの開発を目的とした。具体的には、母体組織が混入した胎児組織を想定し、母と児のゲノムDNAを混合したモデルサンプルの網羅的一塩基多型解析を行った。その実測値を、混合率に応じて補正する計算式を検討し、最適な補正方法を確定した。実際にその補正方法を用い、これまで診断不能であった(母ゲノムDNAの混入のために核型判定ができかなかった)流産絨毛組織の網羅的一塩基多型情報を再解析し、異数性の同定に成功した。 今後は、更に解像度の高いSNPアレイへの応用と、より解像度の高い染色体構造異常診断を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
流産や死産などのヒト発生異常において、原因検索のために染色体検査が行われるが、このような検体は状態が不良で、生細胞を用いた分染法などの染色体解析が不可能なことが稀ではない。このような場合、ゲノムDNAを用いた分子遺伝学的な解析が有効であるが、その一方で、このような検体では母体由来組織の混入を高率に伴うため、従来の遺伝マーカーを用いた手法(マイクロサテライト解析やMLPA (Multiplex Ligation-Dependant Probe Amplification)法等)では、最大3種類の遺伝子型が様々な比率で混在するため、「診断不能」あるいは「誤診」につながる。そこで、あらゆる組み合わせとゲノムの混在比率を想定して解析結果を計算予測し、実測値と最も近似する予測値を用いれば、ノイズの中から児由来のシグナルを抽出し、胎児の核型を確定診断することができる。 そこで、予測モデルと実測値の検証のために、父、母、児の精製ゲノムDNAを用い、母ゲノムと児ゲノムを様々な比率で混合し、その実測値から最も効果的な予測モデル式の作成を試みた。その結果、別途取得した父母の一塩基多型情報から混合比率を推定したのちに、BAF(B allele frequency)を補正する手法が最も適切と判明した。 これらの解析手法を用い、すでに網羅的一塩基多型解析まで行い、母体組織混入のために診断不能であったと考えられる過去症例の再検証を行った。その結果、児の核型を推定診断し、異数性の診断に成功した。現在本成果を投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在は異数性の診断以上の解像度まで到達していないが、今後は更に解像度の高いSNPアレイを用いた解析への応用および、より解像度の高い染色体構造異常診断を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文投稿が次年度にずれ込むため、英文校正・投稿費用・再実験のための試薬代等を考慮し、次年度使用額とした。 英文校正代金、投稿費用、査読後の追加実験費用として使用予定である。
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