研究課題/領域番号 |
24659752
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小川 郁 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00169179)
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研究分担者 |
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50286556)
藤岡 正人 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (70398626)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 内耳 / 鼓室内投与 / 徐放作用 / ドラッグデリバリー / 薬物動態 |
研究概要 |
内耳ドラッグデリバリーシステムの基礎研究を行うために下記システムを開発した。 グリア細胞線維性酸性タンパク質Glial fibrillary acidic protein(GFAP)-LucマウスはGFAPを発現するグリア細胞にルシフェラーゼ(luc)を発現する。すなわち、内耳においてらせん神経節にあるグリア細胞にルシフェラーゼを発現させているマウスである。このマウスにおいて、ルシフェリンを投与し上記細胞に到達するとルシフェリンとルシフェラーゼの酵素反応によって蛍光を発現させることが可能となる。ルシフェリンを投与したところ、投与後15-20分で内耳におけるルシフェリンの発光ピークを認め、全身投与よりも有意に早く到達した。高濃度に到達する傾向も認めた。ただし、薬物動態には個体差が大きかった。 ヒアルロン酸は生体に存在する薬物であり、人工内耳埋め込み手術の時でも電極を埋め込む際の潤滑剤として使用されている。さらに徐放作用があることが今までの報告でわかっているが、詳細なる検討はされてきていなかった。臨床的にはヒアルロン酸とステロイドを混ぜてステロイドの徐放効果がみられるかが重要である。そこで、われわれは、ヒアルロン酸とルシフェリンを混合して上記マウスの内耳への薬物動態を観察することにした。 ヒアルロン酸を用いた場合では、ヒアルロン酸を使用していない時より、内耳への薬物滞留時間が5倍ほど延長し、徐放効果があることを認めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請書に申請した通りに進行している。新しい薬物動態の観察方法を確立し論文報告を行った。また、現在はヒアルロン酸の臨床応用に向けた基礎的な研究成果が順調に出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒアルロン酸の粘性、濃度などの条件を分けて、どの粘性や濃度のものが最も高い徐放効果を示すかどうかを検討していく必要がある。また、ヒアルロン酸とステロイドを混ぜて、実際のステロイド濃度を計測している状態である。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に当てる予定である。主にイメージングシステムを用いた測定のランニングコスト、動物飼育代、試薬代、また研究分担者である神崎がポリッツァー学会(国際学会)で内耳ドラッグデリバリーに関するシンポジストとして招待されたため、その学会費用(旅費)に使用される予定である。
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