研究課題/領域番号 |
24659762
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
塚本 真啓 岡山大学, 大学病院, 医員 (00625717)
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研究分担者 |
森實 祐基 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50432646)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 未熟児網膜症 |
研究概要 |
AMPKの活性化による未熟児網膜症の治療の可能性を探るために、平成24年度は眼球発達期の網膜血管形成過程における、網膜のAMPK活性と血管新生関連サイトカインの産生量の変化の解析に取り組んだ。生後0日から14日目までの新生マウスを用いて眼球を摘出し、網膜を単離しAMPKの活性化の指標であるリン酸化ACCの定量をwestern blotting法で解析した。しかし、新生マウス眼から得られる網膜組織量が予想以上に微量であったこと、また、網膜の単離に要する手術時間、温度によってAMPK活性が大きく変動することから、安定した実験結果を得ることが難しく、現在のところ一定の結果が得られていない。この点については来年度も引き続き実験手法の改善を行い検討を続ける予定である。上記のことからin vivo(生体)で網膜組織全体のAMPK活性を検討することが困難であると判明したため、実験系を培養系に変更し、また網膜を構成する細胞ごとに検討を行う方針とした。未熟児網膜症では、虚血に伴う組織内エネルギーの低下を基礎に血管新生、増殖膜形成を来す。また未熟児網膜症の発症に重要な細胞は網膜を構成する網膜色素上皮細胞と血管内細胞、マクロファージである。そこでまず、網膜色素上皮を用いてエネルギーの低下がAMPKの活性に及ぼす影響を培養液内のグルコース濃度を減少させ検討した。その結果、網膜色素上皮細胞のAMPKが活性化するグルコース濃度条件を設定することが出来た。今後はエネルギーが低下した状態で、網膜色素上皮細胞の機能にどのような変化が起き、未熟児網膜症発症に関与するのかについて検討を進めていきたい
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新生マウス眼から得られる網膜組織量が予想以上に微量であったこと、また、網膜の単離に要する手術時間、温度によってAMPK活性が大きく変動することが判明し、研究の最初のステップとしてin vivoの研究から始めるのは難しいと考えた。そのため、未熟児網膜症に関与する因子、細胞を細分化しin vitroの実験系で検討を行う方針とした。
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今後の研究の推進方策 |
未熟児網膜症の発症に関与する網膜を構成する細胞として、網膜色素上皮細胞、血管内皮細胞について、虚血、エネルギー不足、酸化ストレスが及ぼす影響を検討する。またこれらのストレスによる細胞機能の低下に対してAMPKの活性化が果たす効果を検討する。また、in vivo未熟児網膜症モデルを用いてin vitroでの結果が生体でも反映されるかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は実験手法の確立に経費を使用したが、予算を下回る出費であった。次年度は細胞培養系で遺伝子導入や薬剤を用いた検討を行うため研究費を使用する予定である。
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