研究課題/領域番号 |
24659763
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池田 康博 九州大学, 大学病院, 助教 (20380389)
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研究分担者 |
村上 祐介 九州大学, 大学病院, 医員 (50634995)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 臨床 / 動物 |
研究概要 |
1.網膜色素変性モデル動物における慢性炎症の関与・・・rd10マウスにおける炎症性サイトカインならびにケモカインの経時的発現変化については、既に検証を終了した(Yoshida N, Ikeda Y, et al. Ophthalmology 2013)。視細胞がアポトーシスを生じる前にIL-1βやMCP-1などの炎症性サイトカインやケモカインの発現が網膜で上昇しており、視細胞死が生じている時期に活性化したマイクログリアが網膜内(特に外顆粒層)認められた。また、これらの炎症反応は抗酸化剤であるN-アセチルシステインによって抑制されたことから、網膜内では酸化ストレスに起因する炎症反応が生じており、視細胞のアポトーシスを誘導していると結論付けた。さらに、RCSラットにおける検討を開始した。 2.網膜色素変性モデル動物を用いた抗炎症療法による治療効果の検討・・・RCSラットを用いて、ステロイド局所投与(生後3週齢に硝子体内投与)による視細胞死への影響について検討したが、現時点で明らかな保護効果を認めていない。投与時期、投与量、投与回数を再度設定して実施予定。 3.網膜色素変性患者より採取した前房水中の炎症性サイトカイン、ケモカイン濃度の測定・・・学内倫理委員会における臨床研究実施計画の承認を受け、前房水の採取を開始した。各因子の濃度測定は来年度に実施する予定。 4.網膜色素変性患者より採取した血清中のC反応性蛋白の定量・・・学内倫理委員会における臨床研究実施計画の承認を受けた。血液の採取は来年度より実施する予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験モデル動物を用いた基礎研究は、当初の実施計画に従って順調に研究が進められている。 また、臨床サンプルを用いる研究では、学内倫理委員会における審議に予定よりも時間を要したため、サンプル収集開始の時期に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
実験モデル動物を用いた基礎研究は、当該年度も平成24年度に引き続き、実験を実施する。 臨床サンプルを用いる研究では、サンプル収集開始時期の遅れを取り戻すべく、積極的な症例の組み入れを実施し、当初の実施計画で目標としていた症例数に近づける。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.網膜色素変性モデル動物における慢性炎症の関与・・・RCSラット網膜における炎症性サイトカイン、ならびにケモカインの経時的発現変化について、網膜よりmRNAを採取し、real-time PCR法を用いて発現量を定量する(対照:正常ラット網膜)。また、免疫組織化学的手法を用いて、炎症細胞ならびにマイクログリアを染色し、さらにTUNEL染色を用いて同定した視細胞のアポトーシスとの関連を検討する。 2.網膜色素変性モデル動物を用いた抗炎症療法による治療効果の検討・・・RCSラットを用いて、ステロイド局所投与(生後3週齢に硝子体内投与)ならびにプロスタグランジン生合成阻害作用のあるジクロフェナック局所投与(生後3週齢に硝子体内投与、もしくは点眼投与)による視細胞死への影響について検討する。 3.網膜色素変性患者より採取した前房水中の炎症性サイトカイン、ケモカイン濃度の測定・・・平成25年12月末までに30症例を目標としてサンプルを収集する。各因子の濃度は、Cytometric Bead Array法を用いて測定する。対照として、他の眼疾患を合併していない白内障患者の前房水を使用する。 4.網膜色素変性患者より採取した血清中のC反応性蛋白の定量・・・選択基準を満たす患者より同意を取得し、採血を実施する。血清を分離し、当日中に検査会社にCRP濃度測定(高感度CRP)を依頼する。100症例を目標として被験者の組み入れを実施する。
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