研究課題/領域番号 |
24659767
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
稗田 牧 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50347457)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 近視 / 神経補償 / 瞳孔径 / 波面収差 / コントラスト感度 |
研究概要 |
人間の視覚は高次収差など光学系の蒙像だけではなく、中枢神経系の補償(neural compensation)も関与しており、同じ量の蒙像でも高次収差のパターンが変化することで、見え方に大きな変化がおこる。神経補償を含めて高次収差の視覚への影響をとらえることで、近視進行抑制の治療戦略への足掛かりをつかみたい。 正常ボランティアに調節麻痺を行い、瞳孔径を一定にして、低次収差を付加してコントラスト感度測定を行うことで、神経補償の正常者における機能を明らかにする。屈折異常以外に眼疾患を有さない正常ボランティア5人に裸眼視力、矯正視力、波面収差、光学的眼軸測定、完全矯正下コントラスト感度測定を行う。さらに調節麻痺下における波面収差測定、裸眼視力、矯正視力、波面収差測定を行う。 完全矯正下に人工瞳孔3mm、4mm、5mm、6mmでコントラスト感度測定を行う。4つの条件の違う状況から、もっともコントラスト感度の良好な瞳孔径を明らかにする。もっともコントラスト感度の良好な瞳孔径において0.25Dステップで屈折度を負荷して、その状態におけるコントラスト感度および視力を測定する。高次収差および負荷した低次収差量の総和とコントラスト感度の関係を明らかにする。 神経補償の生理作用を明らかにすることは非常に意義がある。低次収差、高次収差、神経補償の3つを合わせて検討することで、視覚の新しい機能制御理論を構築することが可能になる。神経補償とはいわば非調節性の調節機能を含んでいる。近視進行抑制のみならず、老視治療への臨床応用の基礎的データとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の3つの実験のうちの1つを実施した。正常ボランティアに調節麻痺を行い、瞳孔径を一定にして、低次収差を付加してコントラスト感度測定を行い。神経補償の正常者における機能を明らかにする実験を行い、現在解析中である。 また、小学校における検診の準備もすすめており、本年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
小学生で近視の診断を受けて眼鏡などを装用しておらず、斜視や弱視などの疾患のない対象に、裸眼視力、矯正視力、波面収差、光学的眼軸測定をおこなう。裸眼視力1.0以上を正視とし、その中で他覚的屈折度が-0.75D以下のものを「偽正視」としその割合や高次収差との関係を調査する。また、この検診は継続的に行い近視進行との関連も調査する予定である。 視軸測定機器の具体的な設計図を作成し、試作するための準備をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
小学校での検診の実施のための費用、視軸測定機器試作のための費用が必要である。 また、引き続きデータ解析および学会参加による情報収集、学会発表などに経費が必要である。
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