研究課題/領域番号 |
24659771
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 公益財団法人先端医療振興財団 |
研究代表者 |
森永 千佳子 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (70620243)
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研究分担者 |
平見 恭彦 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, その他 (00462721)
浦尾 充子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (10447972)
日高 庸晴 宝塚大学, 看護学部, 准教授 (40513586)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 眼科 / 網膜色素変性 / 質的研究 / ロービジョンケア / 再生医療 |
研究概要 |
本研究は、網膜色素変性患者(以下、患者とする)の状況に即した支援の構築を目的としており、研究段階を(1)~(5)の段階にわけている。(1)(2)段階目に相当している平成24年度の目的は、患者対象のインタビューを実施し、有効な治療法がない当該疾患の患者の疾患への意味づけとその変化の過程明らかにし、今後の治療法研究の発展と来るべき臨床応用に備え、特に網膜再生医療に対する認識が疾患の意味づけに及ぼす影響を明らかにすることである。 【平成24年度実施の具体的内容】①患者への個別インタビュー:研究方法は実施計画通り質的帰納的研究とし、患者を対象とした各対象に個別インタビューを実施した。検討の上インタビューガイドを作成し、ライフライン描写と半構造化面接にてデータ収集を実施した。サンプリング方法として、当初の計画通り理論的サンプリングを実施しており、データの収集と分析を同時並行に進めている。 ②関連領域の情報収集:本研究の関連領域(眼科・ロービジョンケア・視覚障害相談支援・当事者支援団体等)の学会やシンポジウム、患者支援団体のセミナーに参加し、各領域の興味対象や研究、本研究に関連する課題等の情報収集を実施した。 【意義と重要性】上記①の患者個別インタビューでは、「患者が疾患をどのように受けとめ、どのように意味づけたか、その変化の過程」「網膜再生医療に関する患者の認識とそれが疾患に対する意味づけに及ぼす影響」について、ライフライン描写により得られる傾向と、インタビュー逐語データからバリエーションが得られている。これらの結果は、平成25年度に計画している質問調査票作成のために有用であると考える。 上記②の関連領域の情報収集については、患者の実態はより多彩な領域と結びつけて検討する幅広さの必要であり、今後の調査をより患者の実態に即したものとしていくために上記の情報収集は、不可欠で有意義であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時の研究計画における実施スケジュールでは、患者インタビューの実施を平成24年度中としているが、平成25年度にも継続のこととする。そのため予定の実施スケジュールよりは「やや遅れている」と区分に記載した。 患者個別インタビューの実施期間延長の理由は、下記の通りである。インタビュー対象者のサンプリング方法として、当初の計画通り理論的サンプリングを実施しており、このサンプリング方法は、データ分析で、明らかになりつつある解釈に対して、その適否を見極め、解釈を確定するために必要なデータを収集する方法である。そのため、データの収集と分析を同時並行に進めているため、計画時の予測以上に時間を要している状況である。 しかし、この段階は本研究の全体にとって、今後の調査の質を大きく左右する極めて重要な段階であり、このインタビュー調査を丁寧に実施することで、患者の声に即した実態を明らかにすることが可能となる。このことが本研究の土台となる。平成25年度に実施予定である質問調査の質に大きく関わるところであるため、患者の実態に即した質問調査項目抽出を目指し、当初のスケジュールより時間をかけてデータ分析をしている。理論的サンプリングにより、より多様なデータ収集を目指し、さらに、インタビュー分析過程で複数の質的研究者と議論を重ね(トライアンギュレーション)、スーパーバイズのもと厳密性(妥当性)を担保し、より丁寧に実施することにより、患者実態に即した結果を得ることを目指すものである。
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今後の研究の推進方策 |
研究費の次年度使用額が生じた状況としては、研究計画における実施スケジュールで、平成24年度中に終える予定で計画していた「網膜色素変性患者(以下、患者とする)への質的インタビュー調査」の実施を平成25年度にも継続としたためである。 調査期間としては平成25年度に延長するが、患者へのインタビュー調査に当てる研究費の使用額は変更しないため、当初から患者へのインタビュー調査に使用する予定である研究費用の内、未使用分を次年度使用として、引き続き患者への質的インタビュー調査の実施のための研究費として配分することとした。 本研究の全体構想として、網膜色素変性患者の状況に即した支援の構築を目的とする。その達成のために、研究を (1)~(5)の段階に分けている。平成25年には、平成24年度から期間延長した(1)(2)の段階の「有効な治療法がない当該疾患の患者の疾患への意味づけとその変化の過程を明らかにし、今後の治療法研究の発展と来るべき臨床応用に備え、特に網膜再生医療に対する認識が疾患の意味づけに及ぼす影響を明らかにする」ことを目的として患者へのインタビュー調査を進めるともに、(3)(4)の段階に進めていく。 研究計画の(3)段階では、網膜再生医療について、専門家を対象にインタビューを実施し、患者-専門家・医療者間の認識の差異を明らかにする。(4)段階は、疾患特性の傾向を明らかにするために、患者対象の質問調査を実施する。としていたが、平成24年度からインタビュー調査の期間延長の影響により、時間的制限が生じる可能性があるため、優先順位を決定することとした。(4)疾患特性の傾向を明らかにするために、患者対象の質問調査を優先的に実施し、(3)網膜再生医療について、専門家を対象にインタビューを実施し、患者-専門家・医療者間の認識の差異を明らかにする事へ着手していくこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請時の研究計画における実施スケジュールでは、網膜色素変性患者(以下、患者とする)へのインタビュー調査の実施を平成24年度中としているが、平成25年度にも継続のこととし、調査期間を延長した(理由は、【現在までの達成度】の欄に記載)。 そのため、計画時の平成24年度の研究費の内、未使用額を平成25年度の前半で、患者への個別インタビュー調査に当て、繰り越して使用する計画である。 平成24年度の研究費未使用額分以外の、平成25年度研究費160万円(直接経費の額)分は、申請時当初の計画のとおりに使用する予定である。
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