研究課題/領域番号 |
24659772
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
新開 統子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80301612)
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キーワード | 細胞シート / 間葉系幹細胞 |
研究概要 |
1.ヒト臍帯由来間葉系幹細胞をもちいた細胞シートの作成。 a.タカラバイオ社のヒト臍帯マトリックス由来間葉系幹細胞:Human Mesenchymal Stem Cells from Umbilical Cord Matrix (hMSC-UC)を用いて、細胞シートの作成を行った。まず、温度対応培養皿を用いた。継代1代目(P2)の細胞を5000cells/cm2の濃度で培養を開始。約1週間でconfluentとなった。シートは培養皿を室温に戻すことで自然とはがすことが出来た。培養条件は37度、O2:21%、CO2:5%。b.同じhMSC-UCを用いて、別の方法でシート作成をおこなった。通常の35mm培養皿にP2細胞を1x105cells/cm2の濃度で培養を開始し、3日目にはconfluentになったことを確認し、シートの厚みが増した5日目にcell scraperを用いてシートをはがすことが出来た。培養条件は37度、O2:21%、CO2:5%。 2.hMSC-UCとラット胎児低形成肺との共培養 hMSC-UCをメッシュ膜上に培養しconfluentになるまで培養した。約1週間要した。母体へのnitrofen投与によって作成した、肺的形成モデルラットを妊娠13.5日目に取り出し、肺を摘出した。この摘出肺をhMSC-UCが覆ったメッシュinsertの上におき、48時間の共培養を行った。培養条件は37度、O2:21%、CO2:5%。 3.hMSC-UC共培養における胎児肺の分化・成長の検討 検討は低形成肺モデルと、正常コントロール間で比較した。培養開始0時間と48時間で、lung budの増加数を検討した。増加率は、いずれもhMSC-UCと共培養した群が高かった。培養後48時間で、肺を取り出し、RNAの抽出をおこなった。RT-PCRをおこなって、まず血管成長因子であるHIF1aとVEGFaを比較した。しかし、各群間に優位な差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.ラット開胸手術 作成した幹細胞シートをラット肺を一部切除したところに貼付する実験を行う必要が有るが、ラット開胸手術は困難であった。そこで、麻酔・手術を安全に行えるように環境を整える必要があったが、予算が途中間に合わず、整備が滞った。来年度には早速整備して、ラット開胸手術が早急に行えるようにする。また、ラット開胸手術は最終的には3週齢を使用するが、まずは成獣を利用して訓練する。 2.バイオリアクター 最終的には新生仔ラットの低形成肺を摘出し、バイオリアクターを使用した器官培養を行いたいが、バイオリアクターの作成が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
1.hMSC-UCシートの作成効率化 現在シート状に培養するために5日間必要だが、日数の短縮が図れるように初期細胞数の変更などを検討する。 2.障害肺モデルの確率 低形成肺モデルラットは出生後短時間で死亡してしまうので、正常ラットの肺部分切除術によって障害肺モデルを作成する予定である。これには確実で安全な開胸手術が必要であり、これに熟練する。 3.肺低形成モデルの新生仔ラットから摘出した、低形成肺を器官培養するための培養機器を準備し、hMSC-UCシートを貼付した低形成肺を3日以上器官培養した後に肺の分化・成熟を判定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年末に予算が不足したため、前倒し請求を行ったが、25年度内に前倒しの全額を使い切れなかったため。 前倒しの残額分は、26年度に実験器具購入にあたって使用する予定である。
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