研究課題
がん治療後、四肢に発生する二次性リンパ浮腫に対して「血管柄付きリンパ節移植術」による改善症例が近年報告されるようになった。しかしながら移植組織の及ぼす生態メカニズム解明を目的とした基礎研究は極めて少ない。本研究は当科にて確立したマウスにおける後肢リンパ浮腫モデルを用いて組織移植を行い、リンパ節周囲組織の組織学的変化、ならびに四肢シンパ流の改変を捉えることを目的としている。昨年度は無治療群コントロールとしてのリンパ浮腫モデルの評価を行った。また腹直筋弁と腋窩リンパ節移植のモデルをそれぞれ作成し、評価したが筋弁群は手技が煩雑となり評価が難しくなった。また浮腫の程度の定量化を行う為にラット・マウス足浮腫測定器を購入し、経時的な足の体積の測定が可能となった。本年度はコントロール群とリンパ節移植群をそれぞれ作成し、足の体積の変化とインドシアニングリーンを用いた蛍光イメージングによる評価を行った。その結果、リンパ節移植群で有意に浮腫の程度が軽度となった。またイメージングでリンパ節移植群におけるリンパ流側副路の発達と、移植リンパ節の生着の所見が得られた。リンパ節を移植することで浮腫の改善効果が得られることと、そのメカニズムが示唆される結果が得られ、臨床における外科的治療の推進に繋がるものと考えられる。このデータを元に今後論文を作成予定である。
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