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2012 年度 実施状況報告書

皮膚線条はケロイドの対極の病態である!~膠原線維とエストロゲンの知られざる関係

研究課題

研究課題/領域番号 24659777
研究機関北海道大学

研究代表者

古川 洋志  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00399924)

研究分担者 山本 有平  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70271674)
小山 明彦  北海道大学, 大学病院, 講師 (70374486)
舟山 恵美  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10533630)
林 利彦  北海道大学, 大学病院, 助教 (00432146)
堀内 勝己  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60625028)
齋藤 典子  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (80374487)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードケロイド
研究概要

選択的エストロゲン受容体調節薬(selective estrogen receptor modulator、SERM)は乳癌や骨粗鬆症等に既に臨床応用されている薬剤であるが、コラーゲン合成やTGF-β発現にも関与することが明らかとなっており、ケロイド抑制作用を有する可能性がある。本研究ではSERMがケロイド線維芽細胞においてコラーゲン合成抑制やTGF-β発現抑制作用を有することを証明し、ケロイド治療への臨床応用の可能性を探る。SERMの作用のターゲットであるエストロゲン受容体のケロイド内または真皮内での発現は明確ではないため、当該年度ではエストロゲン受容体のケロイド内発現を検討した。
ケロイド組織、正常皮膚組織を採取し、ケロイドおよび正常線維芽細胞を培養した。細胞染色により培養ケロイド線維芽細胞にエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体βの発現を確認した。また、培養ケロイド線維芽細胞および正常線維芽細胞からタンパクを抽出し、ウェスタンブロットによりエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体βの発現をタンパクレベルで検証した。ケロイド、正常線維芽細胞ともに、エストロゲン受容体α、βの発現を認めた。ケロイド、正常線維芽細胞間でのエストロゲン受容体の発現量の差は明確ではなかった。
当該期間においてケロイド線維芽細胞においてもエストロゲン受容体が発現することを確認できた。エストロゲン受容体の正常線維芽細胞とケロイド線維芽細胞とにおける発現量の差の有無については引き続き検証が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、SERMがケロイド線維芽細胞においてもコラーゲン合成抑制やTGF-β発現抑制作用を有することを証明し、ケロイド治療への臨床応用の可能性を探ることである。SERMの作用のターゲットとなるエストロゲン受容体は、正常皮膚では表皮角化細胞に多く発現するとされるが、真皮線維芽細胞での発現や、ケロイド組織内での発現の有無については未だ明らかとなっていない。したがって、本研究では初年度にケロイド内にエストロゲン受容体が存在することを証明し、次年度にSERMのケロイド線維芽細胞や角化細胞に対する細胞増殖抑制、コラーゲン合成抑制やTGF-β発現抑制作用を証明することを目標とし研究計画を立案している。
初年度の成果としてケロイド線維芽細胞においてもエストロゲン受容体が発現することを、細胞染色およびタンパクレベルで示すことできた。SERMがケロイドに作用する前提を示すことができたと考えられ、次年度の研究計画に向け大きな利点を得ることができた。
よって、現在までの研究の達成度は概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

SERMのケロイドに対する作用を検証する。ケロイド線維芽細胞や角化細胞をraloxifeneやtamoxifenなどのSERMや17β-estradiolなどのエストロゲンで刺激する。刺激後の細胞増殖率、アポトーシスの有無をMTSアッセイ、トリパンブルー染色、ヘキスト染色で検証する。また、I型コラーゲン産生量、MMP、TGF-β、α-SMA発現量、エストロゲン受容体発現量などを、ELISA法、Western Blot法やreal time RT-PCR法によりタンパクおよびmRNAレベルでそれぞれ解析し比較する。
我々は以前に線維芽細胞と角化細胞との共培養モデルを確立し、ケロイド組織における両細胞の相互作用を示し、in vitroでのケロイド病態の再現に成功した。共培養モデルを用いて、ケロイド線維芽細胞や角化細胞をraloxifeneやtamoxifen、17β-estradiolなどで刺激する。刺激後の細胞増殖率、アポトーシスの有無、I型コラーゲン産生量、MMP、TGF-β、α-SMA発現量、エストロゲン受容体発現量などを前述の方法で検証する。

次年度の研究費の使用計画

本研究を遂行するに当たって具体的に必要な手技は、細胞培養、免疫染色、ウェスタンブロット、リアルタイムPCR等である。よって、各種抗体の購入または作成費用、細胞培養ための培地、生化学試薬、エストロゲンやSERMなどの製剤、ウェスタンブロットやリアルタイムPCRの試薬、その他のシャーレ、ピペット等の実験器材の各種物品の購入のため研究費を使用する予定である。
また、研究の成果は順次国内、海外の学会、研究会で発表を行い、論文として投稿する予定であり、学会発表に関する旅費、論文に関する印刷費、投稿費用等としても研究費を使用する予定である。
尚、平成25年3月に購入した分について平成25年4月に支払いがなされるので未使用額が生じている。

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公開日: 2014-07-24  

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