研究課題/領域番号 |
24659783
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨田 興一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90423178)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 再生医学 / 皮弁知覚 / 脂肪組織由来間葉系幹細胞 |
研究概要 |
Lewis GFPラットより採取した脂肪組織、末梢神経よりそれぞれ脂肪組織由来間葉系幹細胞(ASC)およびシュワン細胞(SC)を得た。ASCをHeregulin-1を含む種々のサイトカインと共に培養したところ、シュワン細胞様形態を持つdASCへと分化した。そのphenotype、及び神経栄養因子分泌量をそれぞれWestern blotting、ELISA法にて解析した結果、ASCとdASCは共にシュワン細胞マーカーp75・GFAP陽性、S100陰性であり両者間に有意な差を認めなかった。一方で、神経栄養因子であるNGF・BDNF分泌量はASC→dASCへの分化により有意に増加し、その量はSCと同等レベルであった。 以上の結果を確認した上で細胞移植実験を行った。Lewisラットにおいてgroin flapを両側挙上し、右側はnon-innervated (epigastric nerve切除+近位をligation)、左側はinnervated flap(epigastric nerveのcrush injuryのみ)とした。ASC・dASC・SCを皮弁内へ移植後、それぞれの皮弁を元の部位へ縫着した。5カ月の生存期間後、皮弁中心部・辺縁部よりそれぞれ組織を採取し凍結切片を作成した。 今後は皮弁内の神経軸索密度を評価する目的で、抗神経軸索マーカーPGP9.5等による免疫染色を行い、それぞれの細胞移植が皮弁内神経再支配へ及ぼす効果を検討していく予定である。また短い生存期間のモデルを作成することにより、移植細胞の動態も経時的に観察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
GFPラットより各細胞を抽出、分化誘導に成功した。各細胞の特性を解析した上で、予定していた動物モデルを作成、移植を行った。今後採取組織を処理、解析していく必要があるが、予定していた計画よりもスムーズに実験が進行しており、今後更なる進展が期待できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は前年度で採取した組織を神経特異的マーカー抗体を用いて解析していく。一方、まだ解析途中ではあるが、作成した切片上に観察されるGFP陽性細胞の数が極めて少ないことが予想されるため、生存期間の短い動物モデルを新たに作成し、移植細胞の動態を経時的に評価していく必要があると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては、新たな動物モデル作成に必要な費用、免疫染色に必要な抗体購入費用、研究成果を発表するために必要な費用(学会発表、論文発表のための英文校正、出版に関わる費用などを含む)などを申請する必要がある。
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