研究課題/領域番号 |
24659784
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
榊原 俊介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50444592)
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研究分担者 |
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (80217421)
橋川 和信 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90403237)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 血管攣縮 / ワイヤーミオグラフ |
研究概要 |
微小血管吻合手術における術中・術後の血管れん縮は移植組織の血流不全をもたらす。血管れん縮を予防し弛緩させる方法として、塩酸リドカイン水溶液の局所投与が用いられている。しかし、いかなる濃度、いかなる頻度で用いるべきかについてのコンセンサスは無く、術者の経験に基づき使用されている。われわれは、塩酸リドカイン水溶液の局所投与による血管拡弛緩能について研究を行った。研究材料としてラットの腹部大動脈を用いた。深麻酔下に腹部大動脈を採取しリンゲル液中に保存した。腹部大動脈を1mm幅の輪切りにし、ワイヤーミオグラフシステムにフッキングし1gの負荷をかけた。5uMノルエピネフリン溶液を添加し血管を収縮させた後、濃度の異なる塩酸リドカイン水溶液を添加した。10分後にリンゲル液に置換し、さらに10分後に再度5uMノルエピネフリン溶液を添加した。これらの操作により、れん縮した血管に対する塩酸リドカイン水溶液の血管弛緩効果、作用時間を計測した。塩酸リドカイン水溶液の添加により速やかに血管の弛緩効果を認めた。弛緩効果は、塩酸リドカイン水溶0.5%,1.0%,2.0%については差を認めなかったが、5.0%,10.0%については376%、458%と濃度依存的であった。また、塩酸リドカイン水溶液を添加した血管に5uMノルエピネフリンを添加しても、血管れん縮が生じることはなかった。塩酸リドカインは神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制する。血管平滑筋細胞に対する同様の作用により血管弛緩効果が得られるとされている。今回の研究により、塩酸リドカイン水溶液には比較的長時間の血管れん縮予防効果、血管弛緩効果が期待できると考えられる。また、これらの効果は濃度依存的である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リドカインの濃度と収縮における相関が求められており、ほぼ当初の目的を達成している。有意差を求めたい。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度の研究成果として、リドカインの濃度と収縮力、また効果持続時間との相関について求めた。検量線もおよそ作成出来たが、統計処理が行われておらず、今後、さらに例数を増やし、統計的優位差を求める。また、抗攣縮剤としての代替薬剤の検討および至適濃度・作用時間の決定代替薬剤として、現在検討しているものは、塩酸パ パベリン(ベンジルイソキノリン型アルカロイド)、オルプリノン塩酸塩(PDEIII選択的阻害剤:コアテック)、 プロスタグランディンE1(プロスタンディン)、ニトログリセリン(ミリスロール)、塩酸プラゾシン(α1 遮断薬:レギチーン)などを用い、同様の実験を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物の購入/飼育維持 薬剤・薬品の購入 データ解析用端末の購入
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