研究課題/領域番号 |
24659784
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
榊原 俊介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50444592)
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研究分担者 |
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (80217421)
橋川 和信 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90403237)
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キーワード | マイクロサージャリー / 塩酸リドカイン / 塩酸パパベリン / オルプリノン塩酸塩 / プロスタグランディンE1 / 血管拡張 |
研究概要 |
本研究課題は、血管の拡張/収縮機能の薬剤に対する反応を薬理学的/生理学的に解析し、マイクロサージャリーにおける血管拡張薬の可能性と至適濃度を求める事を目標とした。 まず、昨年に引き続き、われわれは、塩酸リドカイン水溶液の局所投与による血管拡弛緩能について研究を行った。研究材料としてラットの腹部大動脈を用いた。深麻酔下に腹部大動脈を採取しリンゲル液中に保存した。腹部大動脈を1mm幅の輪切りにし、ワイヤーミオグラフシステムにフッキングし1gの負荷をかけた。5uMノルエピネフリン溶液を添加し血管を収縮させた後、濃度の異なる塩酸リドカイン水溶液を添加した。10分後にリンゲル液に置換し、さらに10分後に再度5uMノルエピネフリン溶液を添加した。これらの操作により、れん縮した血管に対する塩酸リドカイン水溶液の血管弛緩効果、作用時間を計測した。塩酸リドカイン水溶液の至適濃度は10%程度と求められた。 次に他の血管拡張剤の候補として、塩酸パパベリン(ベンジルイソキノリン型アルカロイド)、オルプリノン塩酸塩(PDEIII選択的阻害剤:コアテック)、プロスタグランディンE1(プロスタンディン)を挙げた。まず、オルプリノン塩酸塩については、濃度依存的に血管の拡張作用を示し、至適濃度は33uMと求められた。これ以上の濃度ではその作用はプラトーに達した。 塩酸パパベリンでも濃度依存的な血管の拡張を認めた。本薬剤では6ug/mlにおいてプラトーとなった。通常、手術時に用いている濃度が2mg/mlである事を考慮すると、相当量を使用している事となる。 一方で、血管拡張薬として点滴投与剤として広く用いられているプロスタグランディンE1では、濃度依存的に血管の「収縮」を認めた。血管炎などとの関連について、今後検討したい。
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