マイクロサージャリーをもちいた遊離組織移植術では、術中の血管閉塞(攣縮)を防ぐためにリドカインの撒布が広く行われてきた。一方で、その至適濃度について、薬理学的な実験的事実に基づいた知見はなかった。われわれはワイヤーミオグラフシステムを用いることで血管の弛緩・収縮を数値化させ、リドカインの至適濃度の検討を行った。また、リドカイン単剤では十分な抗攣縮作用が得られない場合があるため、他の薬剤での検討も行った。その結果、塩酸パパベリン、フェントラミンメシル酸塩、オルプリン塩酸塩、ニトログリセリンにおいて抗攣縮作用を濃度依存的に認めた。以上より、これらの薬剤も抗攣縮薬として使用されうる。
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