研究課題/領域番号 |
24659786
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
渡辺 太治 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20448723)
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研究分担者 |
大場 謙吉 関西大学, 付置研究所, 研究員 (30029186)
中山 泰秀 独立行政法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (50250262)
神田 圭一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60295649)
田地川 勉 関西大学, 工学部, 講師 (80351500)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | バイオチューブ |
研究概要 |
本研究では、自家細胞とマトリックス成分を用いて患者自身の体内において、自らの体内に移植するための代用臓器を自在に設計・誘導・再生するという、全く新しい着想に基づくD.I.Y.再生医療『生体内組織形成技術』の応用により、開発を進めている完全自家結合組織小口径代用血管バイオチューブの発展型として、吻合を行うことなく、動脈・静脈・リンパ管などのあらゆる微小脈管を再建するための“無吻合バイオチュブ”の開発を行う。A.①基材・形状設計による組織形成促進への試み②複雑な特殊形状形成への試みB.吻合作成のための特殊形状の鋳型の設計:吻合を省略するためにはあらかじめ目的とする宿主脈管とバイオチューブを一体形成できる鋳型の設計が必要である。このため、鋳型となる円柱部分をあらかじめ宿主脈管内に挿入しておく必要がある。この鋳型をスムースに抜去するための設計も必要である。また複雑形状で基材抜去困難な場合は生分解性材料での鋳型作成を検討する。 C.支援技術開発とその応用:組織剛性・弾性の非侵襲的評価法として、Scanning Haptic Microscope (SHM)を開発中だが、解析パターンは弾性繊維染色の組織像に一致した。本システムを用いて、バイオチューブを生体脈管と比較する。 D.動物への移植を前提とした急性期抗血栓性付与:移植後早期に無吻合バイオチューブは脈管内皮細胞に覆われ天然の抗血栓性を強力に発揮すると予想されるが、内皮細胞が形成されるまでの期間、基材そのものに抗血栓処理を行う必要がある。また血流再開後、内皮化までの急性期にはバイオチューブ自体にも一時的な抗血栓性の付与が望ましい。現在は水溶性アルガトロバンを用い成果をあげつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者の体内で自家組織から形成する『微小脈管再建用無吻合バイオチューブ』の開発の最初のステップとして、ビーグル犬の大腿部に、大腿動脈に沿って径3mm、長さ7cmのシリコン棒を埋入した。約2ヶ月後、埋入したシリコン棒の両端部に当たる部位を切開し、カプセル化された鋳型を露出・剥離した。形成されたカプセルの両端を切断し、基材を抜去することにより、中枢側吻合予定部位から末梢側吻合予定部位までの長いバイオチューブが作成可能であることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
無吻合バイオチューブ作成の次のステップとして、大腿動脈の吻合予定部位から吻合予定部位まで皮下で作成したバイオチューブを取り出すことなく、吻合予定部位のみを剥離した状態で、従来の血管外科手技によりバイオチューブを吻合し、実際代用血管としての機能を果たすかどうかを検討する。代用血管として、使用可能であることが確認できれば更にその次のステップとして、基材埋入時に基材の先端を大腿動脈の吻合予定部に差し込み、自己の動脈と、基材を取り巻く結合組織が上手く一体化されるかを検証する為の実験を予定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
移植実験を行う為の実験動物の購入、埋入する基材の購入、吻合に必要な持針器、摂氏などの道具の購入、移植手術に必要な薬剤、麻酔の為に必要な薬剤、道具などの購入、吻合後の抗血栓剤の購入に充てる。また、それらの結果、成果を発表するための学会参加費、旅費などに充てる予定である。
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