研究課題/領域番号 |
24659787
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
佐野 和史 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (40287769)
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研究分担者 |
木村 和正 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00296146)
大関 覚 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50223821)
増田 陽子 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60534112)
橋本 智久 獨協医科大学, 医学部, 助教 (70364635)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 凍結保存 / 切断肢 / 再接着 / 再潅流 |
研究概要 |
本研究を通して、分離・切断された組織の細胞破壊を抑えた凍結保存技術とその後の微小血管吻合再潅流技術の開発を目指し幾つかの重要な知見と課題を得た。切断肢の凍結前処理として臓器移植用潅流液で切断肢内の血液をwash outした上で細胞凍結保存による潅流を行った。凍結操作としてCAS冷凍装置にて常温から5℃、-5℃、-50℃と段階的に凍結し、解凍操作においても-50℃から5℃まではCAS冷凍装置のプログラムで行い、5℃からは25℃までエタノール恒温水槽でプログラム下の段階的加温を行った。現在の小規模冷凍装置では、上記手順で3時間程度の時間が必要と思われた。解凍後の処理として、血管内に残る細胞凍結保存液を組織潅流液wash outした後、血管透過性亢進と感染予防のため、ペニシリンG1万u/kg、クロルフェニラミンマレイン酸塩0.15mg/kg、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム30mg/kgを尾内血管内に潅流した。さらに再接着、再潅流直前にラット自身にも上記配合薬剤を健側大腿筋肉内に投与した。この状態で大腿動脈を吻合し再潅流し、大腿静脈より吻合前に血管内流入させた無色透明な薬液に流出に引き続き静脈血の流出を確認でき、明らかに本凍結・解凍操作によって、末梢での微小血管を介した組織内潅流が維持されている事は確認できた。しかし24~48時間後に再接着肢は筋組織の浮腫に引き続き壊死に陥り所謂再潅流症候群を起こしているものと推測された。今後の課題として筋組織のバイアビリティを維持するためには、冷凍装置を大型化し組織内温度差を抑えかつ短時間で凍結する必要性が示唆された一方で、対象組織をラット後肢からラット尾に変えれば、組織内筋量は少なく、表面積/体積比が大きいため、凍結時の組織内温度差を少なく出来る可能性があると考えられるため、同様実験をラット尾に対して追試計画している。
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