研究課題/領域番号 |
24659792
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
平井 達也 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第4研究部, 研究員 (50465952)
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研究分担者 |
鈴木 義久 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第5研究部, 研究主幹 (30243025)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / bFGF / ヘパリン/アルギン酸ゲル |
研究概要 |
これまでに、亜急性期、及び慢性期の脊髄損傷で起きる脊髄組織の空洞化を再現するために、脊髄組織の部分切除を行ってきた。研究期間内での目標の一つである、塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)を加えたヘパリン/アルギン酸ゲルを空洞化した脊髄損傷部位に移植し、神経細胞軸索突起の伸長を試みる研究では良好な結果を導くことが出来た。この結果は2012年10月の第21回日本形成外科学会基礎学術集会で、bFGF徐放ヘパリン/アルギン酸ゲルを用いたラット急性期脊髄損傷治療の評価、として報告した。更に実験を重ねることにより、脊髄損傷断端起始部から僅かではあるがミエリンシ-スが存在していることも確認が出来、この内容は、2013年3月の第12回日本再生医療学会総会にて、bFGF徐放効果のあるヘパリン/アルギン酸ゲルを用いたラット急性期脊髄損傷に対する神経再生の評価、として報告した。以上のことから、神経細胞軸索突起の再生にとっての足場蛋白の代わりとなるヘパリン/アルギン酸ゲルの存在意義は充分にあり、成長因子としてのbFGFを長期間において徐放させることが重要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1これまでの実験で、ヘパリン/アルギン酸ゲルの移植は脊髄組織部分切除部位で足場蛋白の代わりとなることのできる人工材料であることを証明できた。 2bFGFを長期間において徐放させることで神経細胞軸索突起の成長を持続的に促すことが証明できた。 3上記の1と2より、bFGFを加えたヘパリン/アルギン酸ゲルは、今後、亜急性期、及び慢性期での脊髄損傷治療に応用できる可能性を示唆していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
1人工材料であるヘパリン/アルギン酸ゲルの改良と新たな成長因子や抑制因子の研究が必要であると考える。 2現在までの結果で、再生神経細胞軸索突起の一部にミエリンシ-スの存在を確認できたが、近年においてミエリン細胞膜表面にはNogoのような神経細胞軸索突起の成長を抑制する蛋白が発現していることも報告されている。これらの報告の情報収集を行うとともに細胞再生のための誘導と抑制の両方面から研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度におけるbFGFを用いた研究では充分な結果を導けたが、低酸素誘導因子-1aを発現させるための動物モデル樹立実験においては予定していた研究と成果を得られず、実験動物や試薬のための研究費を充分に使用出来なかったため、現在継続執行中である。 上記実験を含め、細胞培養や臨床薬を利用しての実験に使用する動物と、細胞培養などに使用するプラスチック器具、各種因子を発現させるための臨床薬や発現を証明するための実験薬、及び細胞培養用試薬としての研究費、これまでに学会発表などを介して報告してきた結果内容の論文発表と今後の結果報告を含めての研究費として使用する。
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