研究課題/領域番号 |
24659792
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
平井 達也 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第4研究部, 研究員 (50465952)
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研究分担者 |
鈴木 義久 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第5研究部, 研究主幹 (30243025)
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キーワード | ヘパリン/アルギン酸 / 繊維芽細胞成長因子 / 骨髄中単核球 / 脊髄損傷 |
研究概要 |
私達は、これまでにラットの脊髄組織に部分切除を施し、その切除部位に、人工マトリックスであるヘパリン/アルギン酸に成長因子としての塩基性繊維芽細胞成長因子を加えて移植術を行い、蛍光、及び明視野顕微鏡を用いて足場蛋白の代用となるべく人工マトリックスの親和性の確認と同時に、アストロサイトのプロセスの反応や、神経細胞軸索突起の伸長とミエリンシ-スの状態を観察してきた。ヘパリン/アルギン酸ゲルにおいては、人工材料にこだわることなく、口腔外科では一般的に使用されているコラ-ゲンを素材として使用しているテルプラグなども利用してみたが、ホスト側の脊髄組織との明らかな親和性を認めるに至らず、更には移植部位における空洞化が進み、神経細胞軸索突起の伸長を期待することは不可能であった。これらの現象を踏まえて現在のところではヘパリン/アルギン酸ゲルが細胞成長の為の足場蛋白の代わりとなる良好な素材と考え、今後、様々な成長因子との相乗効果による神経細胞軸索突起の伸長に対する細胞再生の環境を研究中である。塩基性繊維芽細胞成長因子においては、様々な成長因子を探索するために骨髄中単核球の移植を試み、神経細胞軸索突起の伸長の状態を検索中である。以上の問題を含め、ヘパリン/アルギン酸ゲルと塩基性繊維芽細胞成長因子を利用した脊髄損傷部位における神経細胞軸索突起の伸長の評価を日本形成外科学会学術集会にて追加報告した。また、骨髄中単核球が損傷脊髄に与える影響を論文にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までにヘパリン/アルギン酸ゲルを利用、若しくは他の細胞成長の足場を検索してきた。また、塩基性繊維芽細胞成長因子の他の細胞再生に関わる成長因子や刺激因子を利用するために、骨髄中単核球の検索も行ってきた。然し、HIF-1を利用した神経軸索突起の伸長の確認を仮説通りに期待できるものとしての研究は、報告ができるまでには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
骨髄中単核球を利用して、細胞が成長するための成長因子や刺激因子を検索してきたが、引き続き検索が必要と考え研究する。また、ミエリンシース表面に発現する神経軸索突起の成長を抑制する因子は正常な神経再生のための因子と考え、その情報収集を行うとともに、誘導、抑制、の両側面を考慮に入れた実験系を確立する。同時にHIF-1を用いた神経細胞軸索突起を伸長させるべく実験を継続させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
脊髄損傷モデルラットを用いた実験回数に限度があり、更に繰り返し実験として神経細胞軸索突起の伸長状態を確認していかなければならない。並びに、論文の草稿が前年度に間に合わなかったため、次年度への報告になるものと考えている。 培養液、臨床薬、実験動物に約10万円、ガラス器具や抗体などの試薬に約20万円、これまでの報告をとりまとめた論文投稿費用、及び今後の研究発表や情報収集費用として約30万円を必要と考える。
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