研究課題/領域番号 |
24659796
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小倉 裕司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70301265)
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研究分担者 |
嶋津 岳士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50196474)
鍬方 安行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50273678)
松本 直也 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (50359808)
山川 一馬 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (50597507)
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キーワード | 熱中症 / DAMPs / 核酸 / DNAase / RNAase / 多臓器障害 |
研究概要 |
本研究の目的は、熱中症に対する新たな多臓器障害戦略として、遊離核酸標的治療の有効性を評価することである。熱中症に対する遊離核酸標的治療の臓器障害抑制効果を明らかにするために、本研究の焦点を以下の3点に絞り実施する。1)確立した致死的熱中症ラットモデルにおいて、発症急性期に遊離核酸標的治療(核酸分解酵素 DNase、RNase投与)を行い、生存率の改善が得られるか評価する。2) DNase、RNase投与、非投与群において血中遊離DNA、RNA量を定量評価し、同時に各臓器の細胞障害および細胞死を免疫染色等により群間で評価し、治療効果のメカニズムを明らかにする。 3) 遊離核酸標的治療の有無により、熱中症後の各臓器における炎症、再生応答遺伝子、細胞死の制御遺伝子発現に差が生じるか、マイクロアレー法を用いて解析を行う。 本研究では、熱中症急性期に血管内皮障害進行のトリガーとなる遊離核酸を分解し、その後の過剰炎症の連鎖を断ち切ることで、熱中症後の多臓器障害を劇的に改善できると予想している。また、熱中症に対する遊離核酸標的治療を1)DNase血中投与、2)RNase投与、3)DNase+RNase投与の3つの異なる方法で行い、熱中症発症直後、30分後、60分後の3つの投与タイミングを用い、生存曲線、臓器障害の変化を比較検討する。各投与法による血中遊離DNA、RNAの変化を定量評価し、全身の臓器障害への有効性だけでなく、中枢神経障害への有効性を合わせて評価する。熱中症モデルはすでに確立しており、現在上記検討を順次進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱中症に対する新たな多臓器障害戦略として、遊離核酸標的治療の有効性を評価するため、以下の3点に焦点を絞り順次実施している。1)確立した致死的熱中症ラットモデルにおいて、急性期に遊離核酸標的治療(DNase、RNase投与)を行い、生存率の有意な改善が得られるかを評価する。2) DNase、RNase投与、非投与群において血中遊離DNA、RNA量を測定して比較し、DNase、RNaseの血中遊離核酸に及ぼす効果を評価する。また、各種免疫染色による病理所見から、各臓器障害、血管内皮細胞障害・細胞死の群間比較を行い、遊離核酸標的治療が有効性を発揮するメカニズムを明らかにする。 3) 遊離核酸標的治療の有無によって、熱中症後の各臓器における炎症、再生応答遺伝子、細胞死の制御遺伝子発現に差が生じるか、マイクロアレー法を用いて解析を行う。現在までおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として下記を順次進める。 (1)熱中症モデルにおける遊離核酸標的治療の生存率改善効果に関する研究:既に確立したラットの熱中症モデルにおいて、発症急性期に遊離核酸標的治療(分解酵素DNase、RNase投与)を行い、生存率の改善が得られるか、評価する。 (2)熱中症モデルにおける遊離核酸標的治療による血中遊離DNA、RNA量の変化に関する研究:(1)で示したDNase、RNase投与各群において、血中遊離DNA、RNA量の推移を経時的に定量評価し、非投与群を含めた各群間において比較する。 (3)熱中症モデルにおける遊離核酸標的治療の各臓器障害、中枢神経障害軽減効果に関する研究:(1)で明らかになった生存率が有意に改善するDNase、RNase投与群において、各臓器障害、中枢神経障害の形態変化を病理組織診断により経時的に非投与群と比較して評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね順調に進んでいる。 必要な消耗品(抗体など)の購入に使用する。
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