研究課題
平成25年度の研究は、24年度の研究の延長として、副甲状腺ホルモン(PTH)シグナルによる骨芽細胞系細胞の反応をより詳細に明らかにする点、 PTHを受容するPTH受容体(PTH-R)が二量体を形成するか明らかにする点において研究を進めた。前者については、申請者らは、PTHの総投与量ではなく投与頻度が骨芽細胞または前骨芽細胞の細胞増殖・基質合成に影響を及ぼすことを明らかにしている。つまり、PTHシグナルが頻繁に作用すると、前骨芽細胞の細胞増殖を亢進させるとともに、厚い細胞性ネットワークを形成させること、従って、破骨細胞形成も促進して高代謝回転型の骨リモデリングを誘導することを明らかにした。しかし、PTHシグナルの作用頻度が低い場合、前骨芽細胞の細胞増殖ではなく、骨芽細胞による骨形成がゆっくりと亢進するため、ミニモデリングに類似した骨形成が誘導されることが明らかにされた(論文作成中)。この現象は、骨細胞によるスクレロスチンを介した作用ではなく、前骨芽細胞・骨芽細胞系に対する作用であり、活性型ビタミンD3製剤であるエルデカルシトール作用に類似していた。そこで、追加実験として、両者の併用投与をおこなったところ、前骨芽細胞を増やすことなく、骨芽細胞による骨形成が亢進していた。従って、PTHとエルデカルシトールは異なるシグナル経路で相加的作用を示すことが示唆された。一方、PTH-Rの二量体形成に関しては、Flag tagまたはHA tagを付けた野生型PTH-Rおよび変異型PTH-R遺伝子をHEK293T細胞に導入・過剰発現させることで、Flag tagおよびHA tagを認識する抗体にてco-immmunoprecipitationを行った。その結果、PTH-Rは二量体を形成して細胞膜上に局在する可能性が示唆された(論文作成中)。現在、これらの論文を作成中である。
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Biomed Res.
巻: 34 ページ: 153-159
10.2220/biomedres.34.153